メジャー感とカッコよさのど真ん中が集約されていて、これしかないと思った
今回は、実際にデザインしたWORDSのロゴを見ながら前田さんにデザインした時の想いを、竹村さんには見た時の印象を聞きます。
前回のお話はこちら。
→言葉のはじまり、鼓動、WORDSロゴの点滅線に込めた意味
──「#WORDSロゴデザイン」でTwitter検索すると、割と早い段階でこの最終案につながった点滅線が出てきていますよね。この後もたくさん案を考えたということでしょうか?
前田:うん。点滅線が出てからも、こんな風に他の案を考えるんですよ。
──本当にそれがいいのか検証するために、あえて他の案も出しているってことですか?
前田:そう。点滅線が出た時点で「絶対これだ」って思ったけど、一応ね。後からいいの出てくる可能性もあるから。
──なるほど。竹村さんは点滅線を見たとき、どう思われましたか?
竹村:僕も「これだ!」って感じました。よく思いつくなぁって。
──ですよね。では、実際のロゴにはならなかったけど、他に生み出されたロゴデザインをお二人に振り返っていただきます。
文字の起源案
前田:これは、アルファベットとか文字の起源から考えた案。形としては面白いよね。
竹村:そうですね。本とWEBの違いって、フローとストックだなと思っていて。WEBはフローが強くて、本はストックに強い。僕は何か残るものを作りたいんです。
「死んでも残る文字」という意味合いで、メソポタミアの象形文字なんですよね、確か。それこそ「文字の起源て何なんですかね」っていう話を前田さんとしましたね。
──ストーリーがありますよね。
竹村:そう。すごい調べてくださったし、それはそれですごくいい、面白いロゴだなぁと思ったんですけど。点滅線のかっこよさと…
──点滅線のど真ん中感が。
竹村:そうそう。それには勝てなかったかな、と。
ピース案
前田:これは積み木の案なの。
──積み木という発想はどこからですか?
前田:コンテンツはピースを組み合わせて作るもの。コンテンツに合わせて何か形作ったりもできるかな、みたいな感じです。
でも「竹村さんだから」っていうのを考えると、やっぱり点滅線が一番なんだよね。
奥行き案
前田:これは奥行きを感じさせるロゴです。「言葉の発祥」ということから考えて、過去から未来へという意味での奥行きです。
彫刻案
──これは彫刻案ですね。
前田:そう。この書体自体が「今、作っている状態」を表していて、ちょっとずつ手を加えて作り上げて行くのが竹村さんぽいと思った。あまりロゴ自体に意味が無くてもいいかな、くらいに思って作ってみた。
ひょっこり案
──「L」の文字のひょっこり案。ひょっこりは最初見たときに、「何これ?」って気になりますね。
竹村:最初のラフ案に近いですよね。はじめ「とりあえず名刺が先に欲しい」みたいな感じで僕が言って、すぐ作って下さって。もう僕この時点でいいなと思ってました。
前田:ありましたね。
竹村:「いやでもちょっと、ロゴ的にはまだ完成形じゃないっすよ」って前田さんが言ってくれたんです。
改めて点滅線案について
──こうしてたくさんの案がありましたが、やっぱり残ったのが点滅線だったというわけですね。動画もとってもいいですよね。
前田:いいでしょ。何か始まりそうだよね。
──はい、ドラマが始まりそうな感じがします。
竹村:コルクの佐渡島さんもほめてくれてました。「これはいいね」って。
前田:そう、褒めてくれてましたね、Twitterで。確かgood design company水野学さんもほめてくれたんですよね?
(※前田さんは水野学さんに憧れていて、かつてgood design companyの面接を受けたことがあります。ブログ記事参照。)
竹村:はい、そうですよ。
前田:よしっ!
(一同笑。)
メジャー感を因数分解してみる
竹村:前田さんて、デザインの端っこに“大阪感”というと失礼かもしれないけど、ユーモアがあるんですよね、WORDSロゴもそう。見せたときに「かっこいい!」じゃなくて「おもしろい!」っていうのを期待している感じがあるな、と思って。
前田:そうですね。「かっこいい」で勝負しちゃうと、主観が入りやすいんで、好みになっちゃうじゃないですか。だからあまりやりたくないんですよ。
──確かにそうですね。
前田:あなたにとってはカッコいいかも知れないけど、他の人にとってはカッコよくないかもしれないし、僕にとってかっこよくても誰かがイヤと思っているかもしれない。そこに確実性がないとね。
竹村:なるほど。メジャー感を因数分解してみたいなぁ。
書店行っても、自費出版かそうじゃないかわかるじゃないですか。マイナー感が漂う感じ。でもちゃんとしたデザイナーさんが作ると、メジャー感が出る。メジャー感ってなんなんだろうなぁ。
前田:それはいいものを選んでいるだけです。文字の大きさで一番いい大きさを。ちょっとずつ大きくしていったり、小さくしていったり。ちょっとずつ間が開いていたりとか。文字間もそうですね。それの繰り返しですよ。
だから、選ぶ力と可能性を広げる力ですね。
前田:実は去年、まさにこのビルでメジャー感に関するセミナーをしたんですよ。
デザインに力を入れてる企業は“コーポレートフォント”といって独自の文字を作っているんです。するとフォントとか写真で語り過ぎてないけど、いつの間にか語っているデザインになります。
コーポレートフォントがある企業だと、その企業の発信はそのフォントで語られる。そういう深い場所でメッセージを発信し続けてるんです。それが蓄積されて人が「あぁ、いいな。」と感じるのでしょう。それがメジャー感です。
竹村:そういうことかぁ、なるほど。WORDSのロゴデザインとか、あらゆる側面から言って、ここしかないなと感じます。
あれ以上ふざけたり面白くしちゃうと、僕的にももうちょっとど真ん中にいきたいと感じたはず。それもアリなのかもしれないけど…、でもそれだと今みたいに会話に繋がったりしないでしょうね。
竹村:「あ、WORDSです」って程度で終わるはず。
あの点滅があることで「WORDSって、言葉で世界を変えるという意味もあるんですよ」みたいなコミュニケーションができる。メジャー感とカッコよさのど真ん中みたいなものが、一番集約されているロゴですよね。
次回は竹村さんからWORDSの展望と編集について、たっぷりお話聞かせていただきます。
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この対談から約1年後、株式会社WORDSのコーポレートサイトを前田さんの会社NASUで制作しました!
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テキスト:谷下 由佳、浅生 秀明、土田 真巳
取材:浜田 綾、谷下 由佳
構成、編集:浜田 綾
写真:池上 仁美
写真、バナー:前田 高志
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