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選ばれるデザイナーになるために

フリーランスになってから、このことをずっとやってきたと思う。仕事のオファーでいっぱいになって単価を上げたい。そしたら、生活が豊かになるし、いいデザインをするために時間を避ける。デザインを楽しむために選ばれたかった。方法はたった一つ「自分を知ってもらうこと」ブログ、ツイッター、自分が何を考え何が得意で何が弱点なのか。全部出す。ノウハウも性格もすべて。出し惜しみしていては知ってもらえない。出すだけじゃダメだ。届くまで出し続けるんだ。クオリティだけの時代は終わった。むしろクオリティより、大事なのがそれだ。このことに気がついたのは最近。仕事は誰としたいか、なのだ。


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独立して3年。最初は上手くやれるか不安だったぼくでも、今は指名の仕事だけでやっていけるようになった。自分の見せ方、仕事の選び方、人とのかかわり方、スキルの上げ方。選ばれるデザイナーになるために、ぼくがやって来たこと、大切にしてること。全てを、君に伝える。



「作ったモノ」で自分の価値を見せる


フリーになった時、仕事で任天堂の人脈は使ったのかと聞かれることがよくある。任天堂の仕事を請けた経験はあるけど、それ以外で仕事をくれって任天堂の人に頼んだことはないかな。たまたま、キャラクター会社で働いている友人に声をかけてもらったことはあったけどね。だからこそ、ネットから集客しようとブログを書いていたんだ。


デザイナーとして何も肩書きが無い状態から、自分をどうアピールすれば良いのか。自分の何を、売り込んで行けば良いのか。


それは「自分が何を作ったか」だ。


例えば、ぼくがやっていた365日似顔絵を描く企画。


これ、途中で挫折したんだけどね…(笑)。でも、もし本当に365日できたとしたら「毎日似顔絵描く人です」って言えてたじゃない。

そういうのって自分で、仕事じゃなくても産み出せるもの。


これまでにやったプロジェクトを出すのでも良い。見せ方ひとつで、君の価値は上げられる。


ぼくは逆に「任天堂で」って言ったら強いからそれに頼っちゃってるけど、あんまり良くないよね。実は、ぼくにとってはこの「元任天堂」を乗り越えるって言うのが、一つの課題だと思ってる。

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お客さんに選ばれたなら、次に考えたいのが「いかに待遇の良いデザイナーになるか」です。

✔デザインの単価が安すぎてつらい
✔クライアントと価値観がズレすぎてて疲れる

こんな風に悩んでいる方
この先の話にも、お付き合い頂けると嬉しいです。
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待遇の良いデザイナーになるために

自分の価値を分かってくれるクライアントと、健康的に楽しく仕事をする。その上で欠かせないのが、次の二つだ。

①デザインの値段設定


まずは、デザインの値段。最初の値段設定や値上げのタイミングって、フリーランスにとっては大きな悩みどころ。

今までのお客さんが離れていってしまうんじゃ無いか、お客さんが来なくてなってしまうんじゃ無いかってすごい心配になる。だから、なかなか上げられないんだ。

実はぼく、3万5千円でロゴ作りしてたことがあるんだ。その時「値段が安すぎると不安になりますよ」って言われたんだよね。そう言う人もいるんだよ。


つまり、お客さんは“安さ”で来るか、価格で“安心”を買いに来るかのどちらかなんだ。

安さで来る人とは、あんまり一緒に仕事したくなくない?

ぼくは「前田さんにお願いしたいです」っていう人と仕事がしたいと思った。だから、値段はそんなにバカ高いわけじゃないけど、段階踏んで、最低ラインはここっていうのを決めて、これ以上安くなるともう無理だっていう値段にした。安かったらその分質も落ちるから、誰も幸せになれないじゃない。

だから、値段は上げてもいいんじゃないかな。それで離れていく人は、自分の価値を分かってくれてない人だと思うから。

離れていくならそれはもう、仕方ないって割り切ること。

10万円の仕事を3件するよりも、30万円の仕事を1件する方が自分にとっても健康的だしね。

②人間力で勝負する

値段を上げるためには、実力も上げなきゃいけない。それはもちろんなんだけど、今って、もう実力主義でも無いんだよね。実力があるのは、ある程度当たり前になっていたりする。クオリティなんて、上を見たらキリがないし、見すぎると身動きが取れなくなる。


じゃあ、何でデザイナーを選ぶか。


要は、その人と一緒に仕事がしたいかどうかなんだよ。

つまり、人間力だ。

ぼくがツイッターをあんな感じでやってるのは、そういうことなんだ。自分の全部をさらけ出して、「自分はこういう人間です」っていうのを分かってもらう。それで「この人と一緒に仕事したい」と思ってくれる人と仕事をする。

情報って鏡みたいなものなんだ。

出せば出すほど、自分に合う人が寄って来てくれる。

だから、ぼくは嘘をつかない。全部思ったことしか言わない。自分の生き様を、そのまま出してる。

「カバンの中ぐちゃぐちゃだ」ってツイートして、そういう人が嫌だっていう人はそれでもう来ないじゃない。「分かる分かる!」って人が来てくれた方が、断然楽しい。


もう人なんて星の数ほどいるんだから、何思われても全然平気…いや、少し傷つくけど。別に良いじゃない、そこは。

SNSで、自分をさらけ出すんだ。ツイッターもFacebookも、どんどん活用して。フリーランスの仕事は90%が知り合いから。自分を知る人が増えれば、自然と仕事は増える。そうやって仕事をこなしていけば、次第にクオリティも上がっていく。

ぼくね、ブログはずっとやってたんだけど、ツイッター始めたのが遅かったんだ。これを「ツイッター始めなかった俺、アホ事件」て呼んでる(笑)。


ブログでは割と、ロゴの解説とかやってたの。どういう風にロゴ考えて、提案して、どういう風にブラッシュアップしたかっていう思考を全部出そうと思って。それを見て依頼をもらうっていう流れはできたんだけど、プラスαでツイッターで自分も人間性を出していけばよかったなって。


本当に、もっと早く始めていればよかったと思う。

“メジャーリーグの打席”という経験


適正な価格を付けて、自分のすべてを発信し続けた。すると、セミナーを開けば人が集まってくれるようになって、そこに来た人がぼくに仕事を依頼してくれるようになった。こういう良い循環が出来てきたの。それで「ああ、これで食いっぱぐれることはない」って思ったよ。


フリーランス3年目。こうして、仕事が順調に獲得できるようになった。


そしたら今度はもっと活動の幅を広げて面白いことがしたくなって、オンラインサロンに入ってみた。それが、ぼくの場合は「箕輪編集室」だったってわけ。


そこでぼくは、メジャー案件を超スピードでこなして行くことになる。ゲーム業界にしかいなかったことがコンプレックスだったぼくにとって、この経験は大きな自信になった。


例えばこれは、NewsPicksBooks1周年のロゴ。これはホントにガチの幻冬舎の仕事でも良いくらいの案件。箕輪さんから、販促物のデザインは「前田さんリーダー進めて」って依頼をもらって、ゴールデンウィークをつぶして作ったんだ。


このあたりからかな。色んな人に「前田さんっていうデザイナーがいる」っていうのを知ってもらえるようになった。「宇宙兄弟」とかを編集してる佐渡島庸平さんにも声かけてもらって。水野学さんの「段取り術」って本を作った竹村さんのロゴを作ったりとか。


やっぱりなんか見ててくれてたんだよね。オンラインサロンのデザインを凄いクオリティでやってるぞ、みたいに。それで一気に広がった。


この、箕輪さんが用意してくれる圧倒的メジャーリーグの打席。落合陽一やホリエモン。こういうメジャーな人たちのものを扱えるっていう経験。そこには責任とフィードバックがあって。プロ意識が嫌でも芽生える。これが、人を育てるんだ。


ぼくが任天堂でデザインしていたことには、そういう価値もあると思う。普通にフリーランスで仕事していても、こんなにワクワクする仕事ってなかなか出会えない。特に若い人は。


会社に入って、何年か修行積んで、30歳過ぎてやっとそういう大きな仕事が手に入るか入らないか。ここでは、大学生でも手があげられる。露出規模の大きなメジャー案件に関われる。実践で、経験が積めるんだ。


箕輪編集室みたいなオンラインサロンは、月額6,000円を払ってみんなが参加してる。お金を払って仕事するってどうなのって思う人もいるかもしれない。でも、ここで圧倒的経験を積んで、量をこなして、質を上げる。サロンオーナーに覚えてもらえると無条件に応援してもらえて、信用のお裾分けをもらうことででキミの活躍の場はさらに広がる。


やるかやらないかは、君次第。


何かを変えたいなら。動くんだ。

手紙

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みなさん


本日は本当にどうもありがとうございました。


みなさんご存知の通り、ぼくはデザイナーを一旦辞めて、漫画家として生きていきます。

「今までの実績を捨てるなんてそんなムチャな」「チャレンジですね」とか、たくさん言われたりしますが、今日お話した今までやってきたことで、確信があります。

なので、何とかなる、確実に何とか出来ると思ってます。


「ヒット作をつくる」、これが簡単な道では無いのはぼくも承知です。でも、今までやってきたことと、何ら変わらないと思っています。

まずは良いものを作る。そのために大事なことは3つあります。


1つ目は、たくさんのものを吸収してOKレベルを上げる。
2つ目は、たくさん作って、作りまくって、引き出しを作る。
そして3つ目は、「自分」というものを突き詰める。



良いものを作ったら、後は惜しみなく出しまくる。
それを証明をしてみます。やります。


僕は任天堂のデザインチーム・マネージャー・サロン運営・学校の先生をして、色んなクリエイターの皆さんの成長を見てきました。


そこでいつも思うのが、「分かる」と「出来る」というのは違う。その差があまりにも厚い壁。


「分かる」と「出来る」ならまだしも、「分かる」と「やる」でも大きな差があって、大体まずやりません。


すぐ「やる」人だけが成長する。


自分が良いと思ったことはどんどん繋げて、やってみて下さい。


ほとんどの人が何もしません。ただやってしまえば勝ちです。この差が「選ばれる」差だと思います。


みなさんはもう分かったはずなので、後はやるだけだと思います。ぼくも漫画家としてイチからやります。


みなさん一緒にやっていきましょう。


やってみたらこんな事になったっていうのを何ヶ月後かに、ツイッターでも良いんで教えて下さい。


改めて、本日主催してくださった原美穂さん、参加者のみなさん。


今回は自分を見つめ直すことが出来て、それを漫画家の活動に活かすキッカケになりました。心よりお礼申し上げます。


ありがとうございました。


まとめ

選ばれるデザイナーになるために大切なこと

1.自分の価値を高める見せ方をしよう
①肩書きがない時は「自分が何を作ったか」で勝負する
②それは、仕事じゃなくても自分で工夫次第で作り出せる

2.対偶の良いデザイナーになろう
①自分のデザインの値段を安く設定しないこと
 お客さんは”安さ”で来るか、価格で”安心”を買いに来るかのどちらか。値上げして離れていく人は、君の価値を分かってくれない人だと思うこと。

②人間力で勝負しよう。
 フリーランスの仕事の90%は知り合いから。「一緒に仕事がしたい」と思ってもらえるデザイナーになること。自分という人間をSNSで発信して、自分に合う人を引き寄せよう。

3.スキルをあげて、信用を得るために
①メジャーリーグの打席に立とう
 露出度の高いメジャー案件に携わることでプロ意識が芽生え、成長速度が加速する。

②オンラインサロンは、誰もが挑戦できる場所
経験のない大学生でもメジャー案件に携われるのがオンラインサロン。
そこで量をこなし、質をあげよう。

③サロンオーナーの信用をもらう
サロンオーナーからの応援は、信用のお裾分け。活躍の場が飛躍的に広がる。


▼前回の記事はコチラ▼
オンラインサロンで雑誌を作ったら奇跡が起きた

テキスト:江左尚哉
構成・編集:谷下由佳
編集長:谷下由佳
バナー:たなか
監修:前田高志浜田綾


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