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言葉のアートディレクター=「ワードディレクター」という仕事
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8079616/picture_pc_f03e7f30db4c1e6e7c368a1330c65b27.jpg?width=1200)
前回のお話はこちら。
→メジャー感とカッコよさのど真ん中が集約されていて、これしかないと思った
──WORDSの今後の展望について聞きたいです。今までのお話だと、本だけにとどまらない印象ですよね。
竹村:はい。WEBや広告など、言葉を軸に広く仕事ができればいいなと思っています。昔は広告の世界も、いわゆるコピーライターが気の利いたことを言ったら、消費者に届く時代がありました。
今は作り手とお客さんがWEBで直接つながっちゃいますよね。ただ、その間をコミュニケーションできる人が、意外といない。そういうところを狙えるかもよ、なんて話をこの間good design companyの水野学さんとしていたんです。
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竹村:具体的に言うと、ECサイト(ネットショップ)の商品説明を変えるだけで、売り上げは変わるかもしれない。洒落たことやカッコいいことを書くよりも、本当は「防水加工」とか「世界最軽量」くらいわかりやすいほうがよかったりするかもしれない。
シンプルに、わかりやすく、きちんと伝わるようなライティングが、広告や販促の世界でも求められていくんじゃないかな、と。
──なるほど。本を作りたいだけではなく「言葉で変えたい」気持ちが強いのでしょうね。
竹村:そうですね。ずっと、どうしようかなって悩んでます。もちろん本の仕事も引き続き続けていくけど、もう少し「言葉」を使った別の仕事もしてみたい。ほんと、言葉ひとつで世界が変わるときって、ありますからね。
言葉一つで世界が変わる瞬間
竹村:例えば先日、映画『カメラを止めるな!』の上田(慎一郎)監督にインタビューした時、監督が「若いうちはチャレンジャー、失敗集めをしたほうがいい」とおっしゃっていました。
「“失敗”って、避けるものじゃなくて、集めていくものでしょ」って。「失敗集めをしていくと、その利子がたまって、成功として返ってくる」みたいな話をしてくれたんです。それが『カメラを止めるな!』だったらしいです。
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──「利子」いいですね!
竹村:いいですよね。「利子」っていう言葉。成功ってその場で消化されちゃうから「利子」にならないんですけど、失敗するとお金はたまらないけど、その分経験値になって「利子」で返ってくる。こういう話を聞くと、すごい勇気づけられるんですよ。
──わかります、とっても勇気付けられました。
竹村:ですよね。それってまさに言葉ひとつで世界が変わる瞬間だと僕は思っています。
ワードディレクター=言葉のアートディレクター
前田:そういうのって言葉のクオリティ管理ですよね。それって「言葉のアートディレクター」みたいですね。
竹村:ああ、なるほど。
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──編集がそういうものなのですかね。編集者は、言葉も含めコンテンツの品質を保つ人なって思ってます。
竹村:そうそう。すごい些細なことだと「改行」だってそうなんですよ。商品説明がバーーッて書いてあったら読みにくいから、改行するだけで売り上げ変わるんじゃないかなぁって思ってます。
前田:「ワードディレクター」だね。
(一同:おお!)
前田:生まれた(笑)。
竹村:さすが前田さん。「ワードディレクター」ですか。
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前田:言葉の細かい所の管理。世界観もあるだろうし、空気感を管理するのかなぁと。
「食べやすい文章」にするために整理する
竹村:言葉の管理という意味でいうと、日頃から文章を書く上で心がけていることを以前noteに書きました。普通のこと言ったつもりが、かなり共感していただいたようで意外でした。
売れてる本って、やっぱりパッと見た瞬間に読みやすい工夫がされているんですよ。
前田:ああ、まさに言葉や文章のクオリティ管理ですね。書いた文章を客観的に見るコツってあるんですか?ちょっと時間をあけるとか。
竹村:そう。それくらいかな。
──絶対こうする、みたいなマイルールはありますか?
竹村:うーん、スマホでもパソコンでもワンスクロール内に見出し、太字などの動きはつけるようにしています。
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──デザインですね。
竹村:ああ、そうなのかな。ずーっと平坦なものも否定はしないんですけど、普通の人がやるには難しいと思う。僕は逆に自信のなさなのかもしれないですけど、ぜひ最後まで読んでほしいから、「〜の方法3つ」って整理して番号をつけたり、太字にしたり。画像はあんま入れないけれど、なにかしら工夫をしますね。
──(竹村さんの文章は)最後まで、読んじゃいます。
竹村:みんな暇ではないし、僕のnoteのために来てる人誰もいないと思うんで。Twitterで流れてきてパッと見て、見出し3つくらい見て、太字見て、さっと理解してもらえる感じにしています。文章を食べやすくするイメージかな。
──「食べやすくする!」それ大事ですね。
竹村:すごいわからずやの自分の設定で読むんです。「こんなこと言っても、こういう人いるじゃんみたいない?」って原稿整理の時に自分で突っ込んでいます。
──「最悪のお客さん」の想定ですか?
竹村:そうですね。自己啓発書を普段読まないような人でも読んで欲しいと思っているので。
だから「これを読めばお金持ちになれます、断言します」と仮に書くと突っ込みたくなる。だから「いやいや、そんなの無理だと思ってはいませんか?僕も5年前は思っていました。」という風に先回りして読みにくい箇所をつぶしていくんです。それが「文章を食べやすくする」ってことです。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8082310/picture_pc_7e14e6477c5d91d44f946315f621d5df.jpg?width=1200)
前田:デザインも似てるところがあるなぁ。やっぱり見た人がどう感じるか?この文字がどう刺さるか?って考えますもん。だから一緒ですよ。受け手がどう感じるかを大事にしています。
──文章もデザインも考え方や出し方は同じなんですね。共通点があって面白いです。今日はお二人とも楽しいお話聞かせていただき、ありがとうございました。
マガジン「WORDSのロゴができるまで」最終回となります。ご愛読いただきありがとうございました。
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テキスト:谷下 由佳、浅生 秀明、土田 真巳
取材:浜田 綾、谷下 由佳
構成、編集:浜田 綾
写真:池上 仁美
写真、バナー:前田 高志
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