ぬけだ荘 住民座談会 〜 完璧主義だから続かない?「やらなきゃハードル」の呪縛〜
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ぬけだ荘 住民座談会 〜 完璧主義だから続かない?「やらなきゃハードル」の呪縛〜

オンラインコミュニティ・前田デザイン室(通称:前デ)では、現状に悩みや不満を持つメンバーがそれぞれのモヤモヤから「ぬけだす」ことを目的とした社会実験的プロジェクトをおこなっています。

プロジェクト名は「ぬけだ荘」。

モヤモヤを抱えたメンバーがバーチャルアパートメント「ぬけだ荘」の仮想住民となり、互いの現状や取り組みを曝け出しながら、一歩一歩、着実に「ぬけだし(=目的達成)」に近づいていく。そのプロセスをドキュメンタリーに追う、社会実験プロジェクトです。

今回は「続かない自分からぬけだしたい」とぬけだ荘に入居した3名にお話をうかがいました。考え方の共通点はたくさんあるけれど、ぬけだし方は三者三様。

そんな3名がぬけだ荘での生活の先にたどり着いた答えは、ちょっと意外で、すごく納得できるものでした。
(インタビュアー:じゅんじゅん)

座談会メンバープロフィール

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うえさま/広告代理店の営業職
普段は営業をしていて、前田デザイン室に入ってからデザインを始めました。いろいろなことに興味があるので、前田デザイン室のプロジェクトにもたくさん参加しています。
Twitternote/ぬけだし宣言「飛びつき魔でやり切らない自分からぬけだしたい

みこまさんスクエア

みこま/広告代理店のデザイナー
アパレル業界で店舗運営をしていて、2年前に未経験からデザイン業に転職しました。個人でもweb制作やイラスト制作などをおこなっています。
Twitternote/ぬけだし宣言「3日坊主からぬけだしたい

ヒロムさんスクエア

キシシタヒロム/病院勤務の理学療法士
「作る」という作業が好きで、グラフィックデザインに興味を持つようになりました。雑誌・名刺・ロゴなどの作成経験あり。
Twitternote/ぬけだし宣言「軸がブレブレな自分からぬけだしたい」

何かを極めたい!でも続かない!

ーーまずはおひとりずつ、ご自分のぬけだしテーマをお話していただけますか?

みこま 私のテーマは「3日坊主からぬけだしたい」です。もう、何やっても本当に続かなくて。

いわゆる器用貧乏で、なんでも手を出せばそれなりにできるんですけど、極めるまでに至らないんです。すぐに「あっちも面白そう」と目移りしてしまって。

うえさま みこまさんのお話、すごくわかります。

私は「飛びつき魔でやり切らない自分からぬけだしたい」がテーマなんですけど、飽きるっていうよりは、もっと面白そうなものが見つかってそっちに行っちゃう感じなんです。

ヒロム 僕もめっちゃわかります。さっきから首を縦にしか振ってない(笑)。僕のテーマは「軸がブレブレな自分からぬけだしたい」なんですけど、何か始めても極める前に興味の対象が移っちゃうんですよね。

ーーさすが同じグループなだけあって、考え方やタイプが似ているんですね!そういう自分からぬけだしたいと思ったきっかけは、何だったんですか?

みこま 2年前にデザイナーを始めて、同業の人と知り合う機会が増えたのがきっかけでした。

「〇〇に強いデザイナー」みたいに、自分の明確な強みを持っている人が多かったんです。例えばコーディングのスキルが高いとか、イラストもプロレベルとか。

ーーたしかにデザインだけじゃなくて、サイト制作も全部できるデザイナーさんもいますよね。

みこま そこで初めて「なにかを極めたほうがいいのかな」って悩み始めました。ちょうどそのころ「サシトーク」という前デの企画があって、前田さんと1対1で電話で話せたんですよ。22時から24時くらいまで、2時間も相談させていただいて。

ーーすごいタイミングで相談できたんですね!前田さんのアドバイスは心強い。

みこま フリーランスも考えてると伝えたら「フリーランスでやっていくなら、何か強みはあったほうが仕事はもらいやすいかもね」とアドバイスをもらったんです。

「もちろんマルチにできる人も需要あるから、そっちを目指すのもいいと思う」とか「マルチを目指すならフリーランスじゃなくて、ディレクターの下について右腕的な立ち位置のほうが働きやすいかも」って具体的なアドバイスもいただいて。

「とりあえずなんでも試してみたらいいよ」と励ましてもらったので、とりあえず何かひとつ強みを作ってみようと決めました。
それには3日坊主じゃダメだなって思い始めた感じです。

うえさま 私も何かひとつを極めてみたいと思って、ぬけだし活動を始めました。

興味があるものをいろいろやってみて、それなりにはできるんですけど、胸を張って「これができます!」まで続けられないんです。
全部が全部、中途半端に終わっちゃってるなと思って。でも実は、ぬけだしたいほどの悩みってほどではなかったんです。

ぬけだ荘プロジェクトが始まって「私がぬけだしたいことってなんだろう?」と考えてテーマを決めました。

ーーぬけだしたいことが先にあって、ぬけだ荘に参加したわけじゃなかったんですね。

うえさま さっきみこまさんも言ってたんですけど、いろいろ挑戦して、いろいろできるようになること自体は悪くないと思っていたんです。

だから悩みまではいかなくて。ぬけだ荘に参加するために「ここが改善したら自分が成長できるもの」ってなんだろう?と考えて決めたテーマですね。

ヒロム 僕もいろいろやってみるのは悪いことじゃないと思ってましたね。

広く浅くっていうのは、強みにもなると思っていました。僕は本業が理学療法士で、幅広い知識がないと対応できないケースも多いので。

でも前デのメンバーたちが努力する姿を見て、本業の見え方も変わってきたんです。

理学療法士の業界でも、有名な先生は何かしらの専門分野を極めている方が多いし、僕も何かひとつにじっくり向き合うべきかもしれないと考えるようになりました。それがぬけだし活動を始めたきっかけです。

ハードルは「完璧主義の自分」

ーー3名とも続かないことをポジティブにとらえていたけれど「より良い自分になるためにぬけだしたい」と思うようになったんですね。具体的には、どんなぬけだし活動をしてきたんですか?

みこま 私は「100日連続でイラストを描く」という目標を立てました。デザイナーとしての強み、プラスアルファになるものを選ぶなら、やっぱりイラストかなと思って。

昔からイラストを趣味で描いていたので、これまでの経験やスキルを活かせるものを極めたいと思ったんです。

でも2週間くらいでストップしちゃいました(笑)。

うえさま まず100日って目標を立てられるのがすごいです。私の場合は目標が明確だと始める前から憂鬱になっちゃうんですよ。

みこま それはありますね。100日って明確に決めなくてもよかったなと思ってます。ハードルを高くしすぎちゃって続かないってよくあるんですよ。

今回は100日連続っていうのもそうだし、ちゃんとしたものを作らなきゃって思い込んでいたのが原因で続かなかったですね。

うえさま わかります。ちゃんとしなきゃって、自分でハードルを高くしすぎちゃって続かないんですよね。私は読書アプリに読んだ本の記録をしようとしてたんですけど、5〜6冊で今ストップしてます。

ただの記録じゃなくて感想も混ぜて、ちゃんとした文章を書きたいって思うと、難しいテーマの本は書くハードルが高くて……。
再開するつもりはあるので、挫折したわけではないんですけど。

みこま 毎日っていうハードルもあるし、1日できなかったら「もうダメだ」って思っちゃいませんか?

続けられなかったっていう事実が大きすぎて、そこで辞めてしまうんですよ。もう一度やり直すっていうのができなくて。

自分にがっかりしちゃう感じ。完璧主義ってほどじゃないとは思うんですけど。

うえさま 「ちゃんとしなきゃ」って思いすぎて、ちゃんとできない自分が嫌になったりしますよね。

ヒロム 僕も自分を完璧主義だなって思うところがありますね。やろうと思って決めたことができないと、みこまさんと同じで気持ちが落ちちゃうタイプです。

続かない理由のひとつに「完璧にしないと」っていう固定観念があるんだなって、最近思うようになってきました。

みこま 続けるのが目標だとしたら、これまでは続けるのが当たり前で、続けられなかったらマイナスってとらえてたんですよ。

そこをマイナスじゃなくてゼロだと思うように切り替えたんです。
100日連続チャレンジでも、イラストを毎日ちゃんと完成させようとしてたんですけど、完成はハードルが高すぎると気づいて。毎日ちょっとでも描けばOKってことにしました。

結局、副業と本業が忙しくて1週間で終わっちゃったんですけど。でも義務感なく楽しく続けられたのは、私にとって大きな変化でした。

ヒロム ハードルを低くするのは大事ですよね。僕はまず仕事とは関係なく、何か続けられることをやろうと思って、ちょっとした筋トレを始めました。

仕事着のウエストがちょっときつくなってきていたから、ちょうどいいなと思って(笑)。

この筋トレ自体は些細なことなんですけど、目の前で今まさに起きている問題に取り組んだら、意外と続くんだなっていう気づきになりました。

うえさま 私もぬけだし活動ではハードルを低くして、明確な目標を決めていないおかげで、思っていたよりいろいろと続いてます。
読書アプリもペースは落ち気味だけどやめたわけではないし、ロゴデザインとかバナー制作とかも自分のペースで続けられています。

ヒロム ハードルが低いのは大事ですね。あと僕の場合はウエストに余裕ができていくっていう、わかりやすいフィードバックがあったのも大きいです(笑)。

うえさま 成果がはっきりわかると続けられますよね!
フィードバックはちょっと違うかもしれないけど、頑張ったことを褒めてもらえると「もっとやるぞ!」ってなります(笑)。

ぬけださなくてもいい!?なりたい自分が見えた

ーーそれぞれが「完璧主義な自分」との付き合い方を見つけた感じですね。抜け出し活動をしてきて、気持ちや生活の面での変化はありましたか?

うえさま 最近は、やり切らないことは悪いことじゃないって改めて思うようになりました。

ぬけだすために試行錯誤したり、他の人のぬけだし活動を見たりするうちに、いろいろ挑戦するのは素晴らしいことだって改めて気づいたんです。

だからやりたくないことを頑張ってまでやらなくていいし、無理にやり切る必要はないって考えるようになりました。

だから最近、ぬけだしのテーマを「クリエイティブを突き詰めない自分からぬけだしたい」に変えたんです。

みこま 私も「続ける」っていうこと自体は、そこまで重要じゃないと思い始めました。

何かを極めないと!そのためには3日坊主じゃダメだ!と思い込んで頑張ってみたんですけど、ぬけだし活動をするなかで「なんでもできること」を極めてもいいんだなって気づいたんです。

今は前田さんがアドバイスしてくださったように、マルチを目指してみようと思っています。

Web×イラスト、デザイン×動画とか、いろいろな武器を掛け合わせて器用貧乏を強みにしていきたいです。

ヒロム 僕もおふたりと同じですね。ぬけだし活動を通じて何かを極めたスペシャリストになろうと思って頑張ってみたんですが、本当にそれってなりたい自分なのかな?と考えるようになって。

なんでも挑戦していくのは悪いことじゃないって改めて思うようになりました。

理学療法士という仕事柄、いろいろな分野の方とコミュニケーションをとるので、いろいろ経験してきたことが活かされる場面も多いですし、自分はこれでいいんだなって気づきました。

ーーぬけだし活動を経て、自分との付き合い方や新たなテーマを見つけたんですね。ぬけだ荘プロジェクトは終了しますが、今後はどんな挑戦をしていきたいと考えていますか?

うえさま 私はクリエイティブを仕事にしたいわけではないので、どう突き詰めるのかっていう課題はあります。
言葉にすると少し恥ずかしいんですが、私はどうも賞賛欲求が強いみたいで。

認められたい承認欲求とは違って、褒められたいんです。
だから自分の生み出したものに対して、お金という価値がわかりやすいリターンは求めていなくて。それよりすごいねって褒められたい。

クリエイティブを突き詰めた先に何があるのか、どうなっていきたいのかは自分でもまだわからないんですが、楽しみながらやりたいことをやっていきたいと思っています!

みこま ブランディングを全部まかせてもらえる、マルチなデザイナーを目指していきたいと思っています。そのためにしっかりしたポートフォリオを作るのが直近の目標ですね。

クライアントに対して、自分ができることをきちんと見せていく。「いろいろできる」の「いろいろ」を明確にしていきます。
これまでインプットばかりしてきたけれど、今後は積極的に発信してアウトプットしていきたいです。

ヒロム 何かを極めるというよりは、目の前の患者さんが直面している問題を解決するための努力をしていきたいです。

臨機応変に、そのときにやるべきことを全力でやります。患者さんにきちんと解説するために勉強や試行錯誤をして、それを後輩に教えることでアウトプットもしていきたいですね。

あとはこれまでいろいろやってきた経験や知識を活かして、いろいろな分野の人たちのコミュニケーションを円滑にするお手伝いもしたいなと考えています。

ぬけだし活動で得た、大きな気づき

ーー最後に、ぬけだ荘プロジェクトの感想を聞かせてください。

うえさま 続けられないのは悪いことじゃないって気づけて「じゃあこれから何をやっていこう」って、前向きに考え方を変えられたのは大きな変化でした。

私は言葉にしないと頭の中が整理できないタイプなので、ぬけだ荘のメンバーと話したりnoteを書いたりっていう活動ができてよかったです。

50%くらいはぬけだし達成できたんじゃないかなって思ってます。

みこま 達成具合で言うと0%かもしれないんですが、アウトプットをしていくっていう答えにたどり着けたので20%くらいかな。

3日坊主からはぬけだせなかったけど、ぬけだし宣言したときの気持ちは根っこにずっとあるんです。宣言して自分の気持ちに向き合えたからこそ、今やるべきことが見えたと思っています。
ぬけだ荘に参加してよかったです。

ヒロム 軸がブレブレな自分だからこそ、スペシャリストにはできないやり方で道を極められるんじゃないかって気づけたのは、ぬけだし活動でいろいろチャレンジできたおかげです。

ライター活動もできて、できることの幅がさらに広がりました。でも僕も達成度合いは20%くらいかな。今後も100%目指してがんばります!
(終)

挑戦の連続で可能性を広げていく

みなさんが自分の性質を前向きにとらえて、上手な付き合い方を見つけていくまでの流れがとても興味深かったです。

続かない自分を受け入れるのではなく、続けない自分を選んだからこそ、ここから可能性は無限に広がっていくんだなと感じました。
一般的には弱点に思われることでも、自分次第で強みに変えていけるんですね。

うえさま、みこまさん、ヒロムさん、素敵なお話を聞かせてくださってありがとうございました。

★みこま
https://note.com/micoma_nico/n/ncbb01feeb1da
ぬけだし活動をまとめたnote

★キシシタヒロム
https://maeda-design-room.net/n/nfdf3f98c2f00
ぬけだ荘をきっかけにライターとしての記事作成を経験

聞き手 じゅんじゅん
原稿 なりり
編集 郡司しう
バナーデザイン HAL
Special Thanks 高野隼カナうえさま

★ぬけだ荘 WEBサイト
★「前田デザイン室」に参加したい方はこちらへ(CAMPFIRE
★公式Twitter
★公式Instagra

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ハッピーループ⭕️
元・任天堂デザイナー前田高志が率いるクリエイティブ集団、前田デザイン室の公式noteです。 「おもろ!たのし!いいな!」をモットーに、世の中に新しいクリエイティブを大量投下し続けます。 https://camp-fire.jp/projects/view/66627