前田が訊く_松本大地

デザイナーとして頑張りたいからクリエイター集団の前田デザイン室に入った

前田デザイン室の才能達を室長が掘り下げる「前田が訊く」企画、第10弾。今回は横山さんに続き7月の定例会で実現した生対談。4月からフリーランスのデザイナーとして活躍する松本大地(まつもと だいち)さんです 。

デザイナーとして頑張りたいので前田デザイン室へ

(写真右が松本さん。)


前田:前田デザイン室に入ったきっかけを教えてください。


松本:会社を辞める前にピンタレストでロゴとかをいろいろ調べた時に、前田さんのブログNASU-noteにBUTCHERの記事がピン付けされているのを見て、前田さんを知りました。

前田:そうなんだ。嬉しい!


松本:僕はプロダクト出身だったので、ロゴの考え方っていうのは未熟だったんです。だけど、記事の中にデザインプロセスが書いてあるのを見て、もっと色々知りたくなりました。

その後、前田デザイン室ができたというのを2期生募集くらいの時に知ったんですけど、その時は「オンラインサロンって何だろう?」っていうのがあって応募はしてないんです。でも、気になったからそこからオンラインサロンについていろいろ調べて、その中でもやっぱ前田デザイン室っていうのがクリエイター集団で、一番自分に合ってるかなーって。


前田:まずクリエイターのオンラインサロンがないもんね。デザイナー系というのがそんなに。


松本:最近だと櫻田サロン、あと入江開発室とかですかね。コルクラボも調べてたんですけど、紹介制の時だったんです。コルクラボと迷ってたときに(前田デザイン室の)3期の募集があって、やっぱりデザイナーとしてやっていきたいというのがあったので前田デザイン室に入りました。


前田:嬉しいなぁ。コルクラボに入ろうとしてた人が入ってくれるの嬉しい。箕輪編集室のことは知ってた?


松本:知ってました。CAMPFIREのページってオンラインサロンを調べると最初に出てくるんですけど、「えっ何のサロンなん?」っていうのもいっぱいあるじゃないですか。その中で際立ってるっていうと、箕輪さんのところだと思うんですよ。


前田:箕輪編集室は、あまり惹かれなかったの?


松本:いえ、そういうのではなくて。箕輪編集室はその頃、すでに600人とか700人の規模でした。僕3人以上の飲み会になると、途端に効力を失うタイプなんです(笑)。だからその中で活躍できるか?って思ってしまって。あと、Twitterで「箕輪編集室入ってます!」って人見ると、「めちゃめちゃイケイケの人多いやん」って感じてしまって。だから最後は勘というか…、そんな感じので前田デザイン室に入りました。


前田:うん、前田デザイン室はゆるいよ!


松本:はい、面白くて最高だなって思ってます。


デザインは実践の中で学んできた

前田:今やってる仕事はどんな感じ?


松本:一回挑戦してみようと思い、4月からフリーランスになりました。


前田:以前は「エレコム」っていう、パソコン周辺機とかマウスとかシンプルでおしゃれなデザインの会社のプロダクトデザイナーだったんだよね?


松本:そうです。商品の仕様・規格決めという半分エンジニアみたいな仕事もしてたんですけど。アロマディフューザーでトータルのプロダクトデザインをやっていて、でも一番最初にやった仕事は取扱説明書のデザインだったりします。


前田:そうなんだ。プロダクトで入ってグラフィックになったということ?


松本:実はエレコムはプロダクトデザイナーっていう枠が無いんです。開発部枠があって、その中にデザイナーがいる感じです。


前田:じゃあどこでデザインを学んだの?学校?


松本:そうです。僕は高専出身で化学専攻だったんですよ。でも、父がロボットの設計をやっているので、そういうのを見てやっぱりものづくりがすごく好きだったんです。

高専の時に、プロジェクトチームに選ばれてプロダクトを作ったんですけど、見た目がめちゃめちゃダサいのが出来上がったんですよ。その時に、「多分僕はこういう見た目を作る仕事がやりたいんだ」って気づいて。

そこから大学に編入しようとするんですけど、いきなり美大には編入できなかったんで。だから工学部の機械学科に入りました。そこに非常勤で来られていた企業のプロダクトデザイナーの方と話をしたら、「松本くんの経歴からするとプロダクトの方が自然な流れだし、いいんじゃない?」って言われたこともあって、大学院からプロダクトの方に進みました。


前田:へぇ。大学院からプロダクトに行って、エレコムに入ったんだ。


松本:そうなんです。なので、僕はデザインの基礎を学校では習ってないんです。Photoshop、Illustratorなどのソフトは独学で習得して、大学院は応用のところをやりました。UIを作るとかそういう専門的なことを何も知らない状態でやっていたので「習うより慣れろ」という話は大事だなって思います。


前田:僕は大学で基礎から教えてるけど、本気でやってる人ってあんまりいないんだよね。なんとなくやってるだけで自分事にならないというか。やっぱり先にアウトプットがあってからこそのインプットだと思うよ。


生活の一部として残り続けるプロダクトを作りたい


前田:大学院でプロダクトをやり始めて、「自分はプロダクトだ」って感じがしたの?


松本:生活の一部になる物が作りたいんです。紙面って一定期間あったら無くなっちゃうものだと思うんです。でも、プロダクトって、少しづつ変えられつつずっと生活に残っていくものが生まれたりするじゃないですか。そういう生活に溶け込むものがいいな、と思っています。

前田:なるほどね。でも会社辞める時にそれを捨てなきゃいけないわけじゃない。どういう気持ちの変化があったの?


松本:
会社の仕事は、ちょうどデザインの仕事からだいぶ遠くなっていってたんですよ。仕様決めとか耐久性みたいなエンジニアリングの仕事を僕にやってほしいという話で。

前田:そういうのが松本くんに向いてるって会社に言われたってことかな?


松本:
はい。会社は美大のデザイン科出身の方が7~8割くらいで、理系の工学部のデザイン科出身の人が1割くらい。エンジニアリングもできるデザイナーを求めていて。僕にエンジニアリングの知識を持っているデザイナーを期待してたって言われてました。


前田:じゃあ松本くんが好きなことはどういうことかな?青柳やぎ名義のTwitterアカウントでイラスト描いてたりするやん。あっちなのか、むしろプロダクトなのか。その辺ってどうなの?

(松本さんのイラスト用アカウント青柳やぎ

松本:元々は絵で食べていきたかった人間が結果デザイナーになったっていう、結構デザイナーとしては多い人種の一人なんですけど、今はデザインの割合が6~7で、イラストが3ぐらいかなと思っています。


フリーランス必見!DMゲリラ作戦

前田:そうだ、あの話してほしいな。ほら、ゲリラで、バンドのデザインします、ってやつ。


松本:
はい。4月からフリーでやることになって、制作会社を辞めたらコネがゼロなんです。クラウドソーシングで、いわゆる地獄コンペってのをやってみたんですけどあんまり受かないから、3週間くらいで心が折れてしまって。どうしたらいいんだろう、って思ったときに、「対ヒト」で、ひとりひとりに、営業してったほうがいいなって思ったんです。


前田:
うん。


松本:高校や大学で音楽が好きで、バンドをやっていたっていう経験があったんで、バンドをデザインで応援したいと思いました。Twitter上に無数にあるインディーズでバンドやってるアカウントに、「ロゴ作りますよ」とか「フライヤー作りますよ」っていうDMを、500か600件くらい、バーッて全部送ったんです。すると1割くらい返事が来て、そん中のまた1割くらいのバンドとやり取りしてデザインをやってました。

前田:DMを送りまくって、1割返ってくるとか、貴重な経験やし、そこから繋がってやっていくっていうのがすごいよね。

松本:そうですね。なかなか、ゼロスタートでやることってないですし。やっぱり自分で動いたほうが、仕事に繋がるなって、思ったんで。


前田:
返ってきたらラッキー、ぐらいだよね。僕も会社辞めてから、営業根性を教えてもらった人がいるんですよ。会ったときに、とにかく売り込むの。自然とその人の影響を受けていて、そういった根性で、「返事が返ってこなくて当たり前」みたいな気持ちはすごく大事だなと思ってるよ。


松本:「失うものなんもないな、って思ったときの強さあるな」って思いました。


前田:そうだよね。


松本:ちょっと前に、公開してたポスターの仕事があったんです、全然知らない人と何回か会ううちに、「行政のこういうアートイベントの仕事があるから、デザインやってみます?」みたいな感じで依頼されたんです。

たぶん料金的には全然割に合ってないんですけど、でもそういう繋がりが大事だと感じました。「こういうことができますよ」って毎回言ってたら、「じゃああいつに任せてみよう」みたいな、急に仕事が来たときに僕の印象が残ってるっていう、そういうことが結構大事だなって最近思ってます。


今後の展望

前田:今後はどういう感じでいくの?


松本:年内は踏ん張ってやっていこう、と考えているんですけど、お金の問題もありますしね。


前田:今はホームページに「メニュー」出してるの?


松本:はい。前田さんにアドバイスいただいて、料金表は出すようにしました。ただ、WEB自体に、載せられるものがまだあんまりなくて。そこはやっぱり営業を重視しなくてはって思ってます。
年内にある程度、1ヶ月これくらい暮らせる収入、というところが見えてこなかったら、会社員に戻ろうかなとも思っています。


前田:会社員に戻るっていうのは、松本くん的にはどうなの?お金のためだけに(会社員に)戻るんであれば、僕は反対するよ。


Twitterのアカウントを統一しよう。

前田:松本くんだったら、発信次第でどんどん仕事来ると思うよ。前田デザイン室を利用してほしい。作ったものをどんどん出して、「なんかこの人、すごいデザイン好きなんだな」みたいに思われたら、もうそれだけで興味持ってくれたりするかもしれないし。

「自分がどういう人か?」っていうのを理解される前に情報は流れていっちゃうもんだから、まずいろいろ全部を出していって、「なんか気になる人おるな」っていう人をつかまえることが大事。全部出すっていうのが、パンツ脱ぐっていうことだからね。


松本:
今は脱げてない状態ですね。


前田: いや、Twitterとか結構素直に書いてるから、そういう感じでいいと思うよ。ネガティブ要素を出せるって強いもん。でも、もっとポジティブなとこも書いたらいいかも?あともっと作ったものをぽんぽん素直に出していったらいいよ。「今日こんなの作ったよ」みたいに。

松本: なるほど。


前田: あと会社でやってきたことも言えばいいのに。


松本: 言います?


前田: うん。ダメなの? マイナスになるようなことは言ってないから「何の問題になるの?」って思ってる。社内の機密事項とか戦略、戦術とかいうようなことは発信しないし。「自分がこう思ってこう考えて作った。」ぐらいしか言ってない。

厳密には会社の著作権ではあるかもしれないけど、それも僕が考えたことっていう認識。出してみて、なんか言われたら「すみません」ですむ話だと思うんだよ。エレコムはみんなが知ってる会社だし、そこでデザインしてたことって興味ある人いると思う。


松本:そうですね。出してみようかと思います。


前田: その時に、今だとアカウント2つあるでしょ?「ヤギさん」と「大地さん」2人いたら同じ人とわかんない。Twitterのアカウントは統一したほうがいいと思うよ。ややこしい。


松本: うまく分けれたらいいな、と思って別々のアカウントでやってたんですけど、でも確かに。ややこしいんだったら統一しましょうかね。たぶん松本のほうを消したほうが…。


前田: え!!!逆でしょ!
(定例会参加メンバーから、どよめきが起きる。)


松本: いや、名前は松本にするんですけど、アカウントは青柳やぎの方がフォロワーが多いので。


前田: ああ、そういうことか。青柳やぎのほうが多いもんね。というか…、なんで「やぎ」なの?


松本:
青柳は、僕が大学に入ったときに、とてもお世話になった先輩がいて、本当に仏のような人だったんです。その人の名前です。


前田:
 そうなんだ。


松本:遊び心が欲しいなって思って。青柳だけじゃわかんないから青柳の「柳」をとって下の名前も「やぎ」。あと動物系のアカウントってわりとブランド化もしやすいなって思いもあります。


前田: どういうこと?


松本: イラストレーターだと動物系のアカウントって結構跳ねてる人多いんで、ユータヌキさんとか。あと、自分のコラムみたいな絵を書くときに擬人化するときに動物だとかわいいなっていうところも考えてます。でも…、アカウントを統一しようと思います。本名で勝負していきます!


前田: うん。そのままの松本大地でいけばいいと思うよ。


■松本大地 さん

Twitter:https://twitter.com/matsudai0000

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聞き手・カバー画像デザイン:前田 高志

テキスト: 黒木 日南子

テキスト:土田 真巳

テキスト・編集:横山 まどか

編集長:浜田 綾

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