ぬけだ荘 住民座談会 〜スキルアップしたい住民たちのぬけだし活動とは?〜
オンラインコミュニティ・前田デザイン室(通称:前デ)では、現状に悩みや不満をも持つメンバーがそれぞれのモヤモヤから「ぬけだす」ことを目的とした社会実験的プロジェクトを行なっています。
プロジェクト名は「ぬけだ荘」。
モヤモヤを抱えたメンバーがバーチャルアパートメント「ぬけだ荘」の仮想住民となり、互いの現状や取り組みをさらけ出しながら、一歩一歩、着実に自分が掲げた「ぬけだし宣言(=目的達成)」に向かって前進していきます。
今回は、同じタイプのモヤモヤを抱える住民たちによる座談会をnoteでお届けします。メンバーはおのおのが掲げたぬけだし宣言に「スキルアップ」という共通点をもつ5人の住民たち。
それぞれが感じる、自分の現状と理想。目標に向けてどうやって「スキルアップ」していくのか、メンバーたちそれぞれのぬけだし活動を中心に話しを聞きました。
(インタビュアー:ももしぃ)
座談会メンバープロフィール
浜田綾/ライター・コミュニティマネージャー
前田デザイン室の大黒柱ともいうべき、運営チームのメンバー。34歳、キャリアゼロからフリーランスライターへ!
Twitter/note/ぬけだし宣言「クオリティポリスからぬけだしたい」
くま/WEBディレクター
前田デザイン室には2021年1月(35期)から参加。ぬけだ荘PJ運営を中心に活動中。「負けるデザイン」のプロジェクトリーダー。
Twitter/note/ぬけだし宣言「夢に向かって努力ができない自分からぬけだしたい」
はやぶさ/WEBディレクター
われらがぬけだ荘のプロジェクトリーダー。プロジェクトの立ち上げ時にはWebサイト制作のディレクターも担当。
Twitter/note/ぬけだし宣言「未熟なディレクターからぬけだしたい」
りょーちん/パッケージエンジニア
化粧品会社に勤務していたが、デザインスキルを磨くべく、前田デザイン室に参加。自信を持って言えるスキルを身につけるべく、前デのさまざまなプロジェクトでデザインをしている。
Twitter/note/ぬけだし宣言「会社に依存したスキルからぬけだしたい」
ふみ/フリーデザイナー
日本各地を移動しながら、アドレスホッパーのフリーランスとして活動するWEBデザイナー。
Twitter/note/ぬけだし宣言「アウトプットをしない自分からぬけだしたい」
スキルアップをめざす、それぞれの理由
ーー今日は集まっていただき、ありがとうございます! まずは、みなさんのぬけだし宣言について聞かせてください。
くま 「夢に向かって努力ができない自分からぬけだしたい」が、私の目標です。
掲げた理由としては2つ。1つ目は、コロナの影響で、新卒入社後の配属先が希望だった広告の仕事から変わってしまったのですが、それに対して自分自身なにもアプローチをしてこなかったなという振り返りから。
2つ目は、少し前に付き合っていた人に「君は頑張ってないね」とフラれてしまい、自分でも「確かに」と思う部分があったから。
色々やりたいことはあるけれど、全力出せてないんだなと実感してしまい、もっと自分のやりたいことに向かっていきたいなと思って、このテーマにしました。
はやぶさ ぼくは、「未熟なディレクターからぬけだしたい」を掲げています。
ちょうど1年前、デザインの知識がほぼない状態で、デザイン会社のディレクターとして転職をした時期に立てた目標です。
入った会社がベンチャー企業で、業績を悪化させないためにも自分が急速に成長しないといけないという立場にあって、自分を鼓舞するために掲げました。
綾 わたしの宣言は、「クオリティポリスからぬけだしたい」です。
クオリティポリスというのは、前デの室長の前田さんの造語で、仕事が少しできるレベルになってきて、細かいことばかりを大事にしすぎる状態に陥っている人、のことを言います。
私は、5年前からライターをやっていて、今ちょうどクオリティポリスにはまってしまっているなって感じたんです。
自分がやってきたことを大事にしてしまう節があって、ほかの人の仕事で気になることがあるとつい言いたくなったり……。リーダーシップを取ることや、自分自身が動くことはいいことだと思うのですが、チーム全体のパフォーマンスを上げるには「本当にそれでいいのかな」とも感じています。
りょーちん 私は「会社に依存したスキルから抜け出したい」というぬけだし宣言にしました。
いま、7年くらい化粧品のメーカーで製品開発の設計をしていますが、社内調整や打ち合わせばかりで、あまり手を動かしてる実感がなくて。
いまの会社の看板が取り払われて、自分は一人で何ができるんだろうっていうのを考えたとき、なにもないなと思ったことがきっかけです。
自信を持って、自分の手でものを作っていくことに関してスキルをつけていきたいなと思っていて、個人的にデザインっていうのは昔から興味がある分野だったので、自信をもって言えるデザインスキルをつけたいです。
ふみ 私は、「アウトプットをしない自分からぬけだしたい」という宣言をしています。デザインを始めたのが、去年の7月頃なんですが、本業のwebデザイナーの仕事に追われて、なかなかアウトプットができない自分がいるので、この宣言にしました。
ぬけだしにつながる、前デの活動への参加
ーーみなさんのぬけだし宣言を見ると、「スキルアップ」という共通点が見えてきます。それぞれスキルをつけるために、どのようなことをしましたか?
くま 結構いろんなこと、しましたね。前デでは、興味が移るまま、デザイン、Twitterの広報、noteも書いたり、記事を書いたりプロジェクト運営……あとは前デ以外でも、コピーライターのサークルや「THE CREATIVE ACADEMY」という企画を考える講座まで、際限なくチャレンジするようになったなあと思います。
はやぶさ いろいろやってるもんね、いま。
くま めちゃくちゃやってますね。
はやぶさ ぼくは、この「ぬけだ荘」のプロジェクト自体、ぬけだし活動の一環にしています。
WEBデザインの会社にいるので、ウェブサイト制作にも関わりました。
いまは、「ぬけだ荘」のプロジェクトマネージャーをやっていますが、運営的な立ち位置もディレクター的に案件を回す意味で大事だなと思って、当時のプロマネを手伝う形で参加したのがきっかけです。
仕事でも、人数が少ないベンチャー企業なので、社長と話しながら、ブランディングからWEBデザイン、撮影もしますし、ポスターもバナーも作る。マルチにやっています。
ーー「ぬけだ荘」自体、はやぶささんが中心になっているプロジェクトですよね。みんなのぬけだし活動をサポートされていて、すごいなぁと思います。綾さんはいかがですか?
綾 私は、何に対するマネジメントをやっているのかを、しっかり考えるようにしました。
いま、コミュニティマネージャーとして、前デの運営に携わっていますが、前デ以外のコミュニティのことをやっているときに、俯瞰したうえでの提案や戦略を求められてたのに、自分がそこに気づかず日々のタスクをやるばかりで、バリューを出せなかったっていう反省があって。
ーー「コミュニティは生き物みたい」って聞いたことがあります。一つの課題が解決しても、次の課題がどんどん出てくる、というような。
綾 そう!だから、ひとつひとつにちゃんと対応するのは大事。だけど、俯瞰してみるためには、私がやらなくていいことを決めることも大事なんだ、と気づいてきた感じです。
くま 目に見えないものだからなおさら......。
綾 そうなんです、難しいと思っています。
りょーちん 僕はとにかく手を動かすしかないかなと思っていて。前デで動いているプロジェクトにたくさん飛び込んでいます。
「Desig-win」というカードゲームのデザインをしているし、ぬけだ荘にも滑り込みで入りました。
あと、『勝てるデザイン』のワークもちまちまと。
はやぶさ カードデザイン、めっちゃやってますよね。
りょーちん はい(笑)。楽しくできているっていうのが一番の原動力になっているのかなと思っています。
ふみ 私は、アウトプットのためにいろいろ活動しています。前デだったら、バナー制作したり、WEBデザインのフィードバックをもらう会に参加したり、ちょうど今、鬼フィーも受けていて。
綾 鬼フィーめちゃくちゃ楽しみです!
ふみ ふだんはWEBをやっているので、チラシを作るのって、全然感覚が違うんですよ。難しいなと思いながらやっています。
ーーみなさんのお話を聞いていると、基本的には、前デでの活動からぬけだしに繋がっているような気がします。
はやぶさ もちろん全部が全部ではないけれど、やっぱり前デでいろんな人と関わっていろんなプロジェクトに参加しているのは大きいと思います。
厳しくも、鍛えられるフリーランスの道
ーーちなみに、ぬけだ荘の活動以外では、どんなことをやられてるんでしょうか?
くま 私は、言葉に関心があるなっていうのに気づいてから、企画やコンペに出すようになりました。Twitterのコピーコンテストにも挑戦しています。自分の挑戦したいことがわかってきたかな。
ーーコピーは、コンテストがたくさんあって、フィードバックももらいやすい環境にはありますよね。その点、デザインは、フィードバックや壁打ちの場ってあるんですか?
ふみ 私はいま、フリーランスデザイナーとして活動しているので、じつは前デ以外でそういう場はないんですよ。デザインを依頼してくれるお客さんだけですね、なにか言ってくれるのは。
ーーフリーランスになろうと思ったきっかけってあるんですか?
ふみ WEBデザインを始めてから、会社で仕事をしたことがないんです。勉強を始めて、そこから自分で仕事をとっていった感じなので、元々フリーですね。
くま え、すごい。
はやぶさ 鍛えられ方、半端なさそう!(笑)
綾 フリーランスって、じつは怖いですよね。会社員のときに注意されたり、怒られたりすることって、すごくありがたくて。フリーランスだと怒られもせず、ただただ再発注がなくなる(笑)。
ーー「またお願いしますね!」って言われたのに次がない、みたいな(笑)。
綾 そうそう、わざわざ言わないじゃないですか。「あなた、ダメだったからもう発注しないわよ」って。よりそのお仕事にマッチする人が選ばれるだけなんです。
ーーずっと選ばれ続けなきゃいけない世界でやっていくのは、すごいスキルアップになりそうですね。
目標がはっきりしているから迷わず進める
ーー次に、みなさんの「ぬけだし度」をお聞きします。いま、自分が目標に対して、何%ぬけだせていると思いますか?
りょーちん ぼくは10%位かなぁと思っています。目標としている「副業として仕事をもらう」ところから逆算をしていくと、まだ全然そんなところには至ってないですし、勉強中の身ということで……。
ふみ 自分的にはまだまだ全然っていう感じなので、10%くらいかなぁ。まだまだがんばらなきゃいけない気がしています。
くま 私、数値的根拠があって。宣言した「夢に向かって努力ができない自分」って、15文字なんです。「努力ができない自分」のからは、まぁぬけだせてるだろうと思っていて、これが9文字。「夢に向かって」の6文字がまだできてない……。だから文字換算したら、15字中の9字で60%はぬけだせてるだろうと(笑)。
綾 すごい!わかりやすい!(笑)
くま このあいだ、結局どういうところに自分の強みがあるのかわからないな、っていう悩みを書いていたら、前田さんから「『狭く早く深く』抜きん出る方法」っていうのをポンってメッセージされて、グサってきました。
「この分野でスペシャリストになりたい」っていう覚悟を決めないとなと思っています。
こういう職種に就いたら実現できるんじゃないかなというところまで考えたら、100%になるんじゃないかなと思っています。
綾 私は、20か、30%ぐらい。頭では、何をしないといけないていうのはわかった。けれど、自分の発信がいろんな人に見られて、「浜田さんで」みたいな感じで仕事が来ているかというと、そういう状態ではまだないから、もっと頑張ります。
はやぶさ 60パーくらいかな。去年の自分が「webサイトってなんですか」っていう状態からのスタートだったところは、完全にぬけだせている気はしています。
ただ、悩みは尽きなくて、たとえばいまはコーディングの壁にぶち当たっています。金額や工数がどのくらいかかるのかは、エンジニアさんに訊けばわかるんだけど、もう少し、自分自身の肌感でいろいろなことを知っておきたいなっていう。
ーーありがとうございます。最後の質問は、みなさんの“理想像”についてです。ぬけだした先の自分がどうなっているかを教えてください。
くま 最近よく、「くまちゃん、ぬけだせてるんじゃないの?」と言って頂けるようになりました。「頑張ってるじゃん」って言ってもらえることが、すごく嬉しいです。でも“理想像”と言われると、まだ曖昧です。
いろんな人が考えるきっかけになる作品や成果物をつくりたい。
なにかひとつ、「これで成果物をつくるんだ」と言える武器を決めたいです。極めたい武器を見つけて、一心にやるということができたら、スキルアップになるんじゃないかと思っています。
ーーくまちゃんは、“理想像は曖昧”って言うけれどやるべきことは明確になっていますよね。十分すごいことだと思います。
はやぶさ 僕は、理想像に2段階あると思っていて。まず「相手に対して提案できる」、その上がさらに「一人で業務が回せる」という2段階。
ディレクターって、クライアントとデザイナーの真ん中に立って要望を噛み砕いて、こういう風なものを作りたい、こういう風な提案をしましょうっていうのをやり取りする人だと僕は思っています。
僕がわからないとデザイナーにも伝えられないし、提案もできなくて、単なる伝書鳩みたいになってしまう。それだとディレクターとしての存在価値ってないなと思っています。
デザイナーにもクライアントにも、「こういうのどうですか?」と提案ができるようになることが、まず1つぬけだしかなと思っています。
さらにそれができたら、自分で案件を回して、直接自分がお客さんを獲得して、会社に貢献したい。この一年間は、まず「提案ができる」っていう所にフォーカスを当ててやっているつもりです。
くま 私も、ディレクター職だから分かる。足りない知識に関することって、伝書鳩になっちゃいますよね。
はやぶさ そうなんですよ。でも、御用聞きになっちゃいけない。いい意味で裏切って、信頼を得るのがあるべき姿かなと。
綾 私は、細かいところを気にしてしまうこと=クオリティポリスからぬけだせなくなっていることに時間をかけて気づきました。
でも、クオリティポリスのままを続けて、自分の存在価値がなくなってしまうのは怖い。
細かいところも気にしつつ、視座を上げていきたいです。そうして発信をした結果、いまいる会社に還元できるような人になりたい、かな。
「浜田さんだから、前デのコミュマネさんだからこういう仕事をお願いしたい」と広くいろんな人に思ってもらいたいですね。
りょーちん ぼくは副業として、自分のできることでお金を稼げるようになるのが理想です。
ふみ アウトプットをもっと頑張って、それを発信して、何か仕事につながる状態にしたいなと思っています。何かをつくっても、発信するクセがまだなくて。行きを吸うように意識せずできるようになりたいですね。
ーーすごい、みなさん目標がはっきりしていて、それまでの道の進み方に迷いがないな、と感じました。今日は、いろんなお話し聞けて楽しかったです。ありがとうございました!
(終)
ぬけだしを”さらけ出す”ということ
「自分ではこれくらいできていると思うけど、結局は他人から評価されてなんぼ」
「目標達成するには、自分の手を動かすしかない。でも、手を動かすとなると自分1人でやるべきって思考に陥りがち。それぞれ悩んでいる現状をコミュニケーションできるって、すごく心強い。」
今回の座談会を終え、雑談中に出たコメントです。
目標像がしっかりしていて、自分が今どの位置にいて、目標到達までに何をすればいいかはわかっている。そして、黙々とやり続けている。“スキル”という達成基準が分かりにくいものを身に着けようとしている方々だからこそ、かなり細かい分析を自分に対して行なっている姿に圧倒されました。
5人は、さらけ出せるほど、頑張っている。私も続かなければ、そう思わせてくれる座談会でした。
聞き手・原稿 ももしぃ
編集 郡司しう
バナーデザイン HAL
Special Thanks 高野隼、カナ、うえさま
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