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〜みんなと仲良くなりたい〜 佐渡島庸平・前田高志の「雑談」 前田デザイン室×コルクラボ合同定例会レポート

こんにちは。
前田デザイン室の三宅です。

昨年末に前田デザイン室に入り、居心地が良くてすっかり前デの虜に。今回は初めてレポートを書かせていただきます。


2020年最初の定例会は、1月22日に開催され、今回はオンラインコミュニティ・コルクラボと合同定例会でした。

会場は、株式会社アカツキのとてもオシャレなオフィスをお借りしました。アカツキさん、場所のご提供本当にありがとうございます!

さて、コルクラボと前田デザイン室の関係といえば、昨年クラウドファンディングにより出版された書籍『居心地の1丁目1番地』

この本の制作において前田デザイン室は、デザイン面で参加させていただきました。一緒に本を作った仲間として、関係性はまさにONE TEAM(ワンチーム)。

今回の合同定例会は、書籍『居心地の1丁目1番地』のクラウドファンディングで室長の前田さんが購入した対談特典から実現したものでしたが、サロンメンバーにとっては、オンラインでやり取りしていたメンバーとやっと顔を合わせることができた念願が叶った時間でした。


雑談をはじめよう

前田:たまたまタンスを開けたら、これがあって。

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前田さんの胸元にはSADOSHIMAEDAの文字。今日のためにガチ弟子枠のまつぎあゆさんがデザインしたパーカーを用意していました。

佐渡島:僕も気がついたら脱いじゃってて。

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なんと佐渡島さんの下腹部には、前田デザイン室が制作した「モザイクパンツ」が!

二人とも準備はバッチリ!空気が和んだ中で対談が始まりました。

前田:今日って、何の話すればいいんですか?

佐渡島:僕は、雑談する気でしかいなかった。

佐渡島:最近、人ってどうやって友達になるのかって、考えるの。スキルとして捉えたことないなって。

前田:そんなこと考えたことないですよ(笑)

佐渡島:そうなの。小学校では運動会、会社では歓迎会があったり、友達になろうと意識しなくても、自然と馴染める仕組みがあるんだよ。だから、いざ自分で誰かと仲良くなろうと思っても、その方法は大人でも知らないなと思って。前田さんだったら、仲良くなりたい人がいた時どうする?

前田:本音を語り合いたいんで、飲みに行くとか?

佐渡島:何で本音を聞くと人は仲良くなったと思うんだろうね?

前田:信用されてるって感じるんじゃないですかね。

佐渡島:信用されてるって思うと、どうなるんだろう?

前田:どうなるんだろう?(笑)。嬉しくなりますよね、心開いてくれた、って。

佐渡島:だよね。それって歓迎会とかより、信用を得られるようなイベントを開いた方が、仲良くなれるってこと。そんなことを考えながら、コルクラボの設計をしてるんだよね。


お母さんを抱きしめたのっていつ?

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佐渡島:一つ聞きたいんだけど、最近自分のお母さんを抱きしめたのっていつ?

前田:えっ!?小さい時だけですよ。

佐渡島:10歳くらいまでは、抱きしめてたわけでしょ。でもさ、もう20年以上抱きしめてないんだよ。これってすごいことじゃない?

前田:いやー、今だったら嫌だと思っちゃいます(笑)

佐渡島:次に抱きしめる時って、介護する時だったりするんだよ。その間の数十年って、何かが失われている感じがするんだよね。海外だとさ、日常的にハグするわけじゃん。それに比べると、日本人はスキンシップが少ないんだよね。だからこの正月、母親とハグするチャンスないかなと思って、ずっと探ってたの。

前田:ええ!?できました?

佐渡島:家族写真の時に肩に手を回すぐらいしかできなかった(笑)

前田:でも大事ですね、触れ合いって。そういえば、僕は奥さんと日常的に軽いスキンシップとってますね。だから、仕事で家を空けたり、好き勝手してても、コミュニケーションを取れてるんだなって。

佐渡島:経営者ってさ、よく手を握ってくるでしょ?それも同じ、触れ合っているから。握手って仲良くなるのに楽な方法だなと思って。

前田:たしかに!(笑)

佐渡島:コルクラボは女性陣がよくハグをしているのを見るんだよね。僕は入っていけないんだけど(笑)。でも、それも距離を縮めたり本音を語りあえる関係になりたいから自然とやっているのかもしれない。本音語るってことと、スキンシップやハグすることは、仲良くなる意味では同じ効果があるんだよね。

「失敗」ってなんだ?

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前田:僕、最近、「失敗したい病」にかかってて、小さな成功体験を重ねるより、たくさん挑戦したうえで、どんどん小さく諦めていった方が、自分にとって良い気がしてて。

佐渡島:諦めるって、どういう意味で?

前田:メタ的に自分を捉えて「自分はこういう人間なんだ。だからこう対策していこう」って前に進んでいく感じですかね。

佐渡島:なるほど。みんな失敗に対して、瞬間的に見てるだけで、メタ的に見てなかったりするよね。例えば、俺は人前で歌うなんてやったことないけど、初めてやったら失敗するじゃない。でも100回やってみたら、5分くらい聞いてもらえるようになるかもしれない。大抵の人が「できない」って言ってる時って、挑戦した回数に無意識で、実はそんなに挑戦してなかったりするよね。101回目にできるようになったら、それ以降はずっとできるわけ。常に分母で見る癖をつけた方がいいと思うんだよね。分母を増やすことで「できない」は「できる」に変わっていく。

前田:点で考えがちってことですかね?

佐渡島:そう。線で考える。その瞬間だけでなく、少し未来を見れば
苦手とか失敗ってないんだな
って思う。

前田:漫画でも、最初は頼りないキャラが、最終的にはめっちゃ活躍したりしますよね。物語の中で成長を追える楽しさもありますしね。

佐渡島:初めからできる人の話は盛り上がらない。プロのデザイナーが「俺、3歳の時からデザイン得意だったんですよね」とか、そんな話聞きたくないじゃん(笑)。でも、たしかに僕も昔は周りから「すごい!」って思われたかったんだよね。

前田:その気持ち、めちゃめちゃ分かりますね。

佐渡島:今まではコルクラボのゲストにも、かなり名の通った人を呼んで、最先端の小難しい話をしてたの。それはそれで意味もあったし面白かった。だけど最近は「すごい」と思われると、あんまり得しないなと思って。すごいと思われている人は、遠くから見てはもらえるんだけど、味方にはなってもらいづらい。だから、すごいと思われなくていいと思って、人前で雑談しかしなくなったの(笑)

前田:僕も自己PRは意味がないって考えていて。自己PRしないといけないことって大したことないよなって。自分で自分のことをすごいでしょ!って言っても相手からしたら興味ないと思うんです。作ったものが結果的にすごいと思われるのはいいと思うんですけどね。

佐渡島:すごい、すごくないっていう指標をつくると、それに囚われちゃうんだよね。相対的になってしまうし、延々と苦しい無限地獄に入ると思う。だから、周りからすごいとか思われようとしなくていい。そうすれば失敗とか苦手なんてものもなくなるはずだよね。

全員、まだまだ。

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前田:佐渡島さんは、編集者としてヒット作品で結果を残してきた人じゃないですか。僕みたいに「これだ!」って言える作品がまだない人は「すごい」って言われる人を目指した方がいいんですかね?

佐渡島:前田さん、よく「自分はまだまだ」って言うじゃん。僕、前田さんと自分の差が全然分かんないだよね。

前田:「これだ!」っていえる作品を残してないんですもん。

佐渡島:そういう意味では、僕もまだまだだよ。この前、ソフトバンクの孫さんと、中国の企業家でアリババの創業者ジャック・マーさんが対談してて「僕たちって、まだ何も達成していないよね」って言ってんだよね。あのレベルでだよ?(笑)。でもさ、織田信長や坂本龍馬の功績に比べたら、誰だって「まだまだ」ってなるわけだよね。

前田:たしかに。歴史の教科書に載るくらいのことを成し遂げたかってことですよね。

佐渡島:そうやって考えると、全員まだまだ成長途上だなーって思うし、人間って、みんな一緒だなって思うの。

前田:それで、佐渡島さんが最近よく言う「みんなと仲良くなりたい」っていうことろに行き着いたんですね。

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佐渡島:そう。誰とでも仲良くなりたいの。どんな人でも興味が湧いたら話しかけちゃう。思春期に差し掛かってきた息子とも仲良くしたいけど、これは結構難しいんだよね(笑)。みんなと仲良くなって、みんなで居心地の良い場所を作りたいなって。全ての物語ってさ、居場所のなかった主人公が、社会の中で居場所を作っていくストーリーだなって思ってて。コルクラボでも、社会での居心地の悪さを感じていたメンバーが、自分の居場所を見つけて、社会に還元したり、拡張したりするのを見てると、本当に嬉しいし、物語の参考にもなってる。

前田:オンラインコミュニティだと、それをリアルで見れますもんね。

「学校の昼休み」がやりたい。

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前田:最近ようやく見つけられたと思うことがあるんです。ここまで20年、ずっと「デザイナーを極める」って思いながらやってきたんですよ。任天堂時代からもいろんなひらめきがあった。だから仕事以外でもこんな作品つくってやろうって決心するんだけど、いざ休みの日になったらずっとゲームしてて、全く何も進んでなくて、自己嫌悪に陥る日々でした。何か違うと思って会社を辞めてフリーになって、それから箕輪編集室に入って、初めて仕事以外でデザインすることができたんです。それから前田デザイン室を立ち上げることができて、それで一つの答えに辿りついた。僕は「学校の昼休み」がやりたいんだ、って。

佐渡島:どういう意味?

前田:学校って昼休みになると、校庭でサッカーしたり、オリジナルな遊びを生み出したりするじゃないですか。あんな感じで、誰かとコミュニケーションとりながらやるのが好きなんだなって。あれだけ仕事以外で動けなかった僕が、箕輪編集室や前田デザイン室ではデザインできた。それは、コミュニケーションのラリーがあったから楽しかったんですよね。これが僕の幸せなんだって、20年かかってようやく気付いたんです。

佐渡島:なるほど。そういうことね。

前田:僕はみんなと一緒にやることが好きだし、楽しいんだな、って。去年漫画家になるって宣言しましたけど、一人でやるの無理だわ!って思ったんです(笑)。だから10人くらいで作る。藤子不二雄さんみたいに、前田A、前田B、ってやれるといいかなと思ってます。

佐渡島:いいね!自分の得意なものを知っておいてさ、それぞれで協力し合えば一人で生み出せないものができるよ。面白いものをつくるなら、絶対にチームの方がいい。大賛成!

前田:20年かかってしまったけど、色々なところに足を踏み入れて、色々な人と仲良くなれたから気付けたんだと思います。

佐渡島:漫画家として一度動いてみたことで気付けたんだろうね。心の解像度が上がって、たくさん新しいものが見えるようになったんじゃないかな。

前田:やっと出発できた感じです。これからもよろしくお願いします。2020年も仲良くしてくださいね。


対談という名の「雑談」が終わり、会場はぽかぽかとした安心感に包み込まれていました。

対談後は両コミュニティのメンバーで一緒に懇親会を行いました。賑やかな空気の中、突如コルクラボの方からアナウンスが。
『居心地の1丁目1番地』に携わった前デのメンバーが会場前方に召集され「お渡ししたいものがあります!」と、大きな箱が運び込まれてきました。

ドキドキの中、ゆっくりと前田さんが箱を開けると、なんとそこにはNASU本の形をした巨大ケーキが!

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『マエボン』の表紙に描かれた『童心くん』、『居心地の1丁目1番地』の表紙や、そこに描かれた『サディくん』の姿も。
会場は大盛り上がり!あまりのサプライズに、前田デザイン室のメンバーは感動しかありませんでした。

前田:ありがとうございNASU!

はじめから、終わりまで、温かく優しい雰囲気となった合同定例会。まさに「居心地の1丁目1番地」のような、時間になりました。

佐渡島さん、そしてコルクラボのみなさん、本当にありがとうございました!

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コルクラボの書籍『居心地の1丁目1番地』は、こちらからご購入いただけます。居場所やコミュニティにご興味のある方はぜひご覧ください。



文:三宅康之
写真:野坂由輝子惣島 厚坪田将知
編集:大久保忠尚
監修:浜田綾

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