ぬけだ荘 住民座談会 〜比べるべきは他人じゃなくて過去の自分! 〜
オンラインコミュニティ・前田デザイン室(通称:前デ)では、現状に悩みや不満を持つメンバーがそれぞれのモヤモヤから「ぬけだす」ことを目的とした社会実験的プロジェクトを行っています。
プロジェクト名は「ぬけだ荘」。
モヤモヤを抱えたメンバーがバーチャルアパートメント「ぬけだ荘」の仮想住民となり、互いの現状や取り組みを曝け出しながら、一歩一歩、着実に「ぬけだし(=目的達成)」に近づいていく。そのプロセスをドキュメンタリーに追う、社会実験プロジェクトです。
住民たちはそれぞれ、「ぬけだし宣言」という目標を個々に掲げて、日々ぬけだし活動をしています。
今回は、その「ぬけだし宣言」に“自信がないこと”を共通点としてもつ3名の住民による座談会。抱えているモヤモヤやぬけだし活動などを話し合い、それぞれのぬけだし度合い、やってみて効果があったことなどを語ってもらいます。
(インタビュアー・うえさま)
座談会メンバープロフィール
かずちゃん/webデザイナー・ECサイト運営
デザインのスキルを上げるため、前田デザイン室に参加。将来的には、副業でLPページ制作の仕事を受けられるようにするのが目標。
Twitter/note/ぬけだし宣言は「いなくていい人からぬけだしたい」
ちひろ/フリーデザイナー・カメラマン
いろいろなクリエイターと交流できると思い、前田デザイン室に参加。
Twitter/note/ぬけだし宣言は「買って満足する自分からぬけだしたい」
まさみん/求人広告代理店
ぬけだ荘に入ったことをきっかけに転職活動をし、無事2021年9月に転職。前田デザイン室ライター枠。
Twitter/note/ぬけだし宣言は「“やりきらない”からぬけだしたい」
それぞれの“自信のなさ”の表れ
ーーこんばんわ。今日はぬけだ荘の住民座談会で、同じタイプの「ぬけだし宣言」をしているメンバーに集まっていただきました。みなさんに共通して感じたのは、モヤモヤの原因が「自分に自信がない」ことなんじゃないかな、と。
まずは、みなさんのぬけだしテーマについて、少しお聞きしたいと思います。
まさみん はい。私は、もともと「ショムニ的事務職からぬけだしたい」というぬけだし宣言にしていたんですが、途中で「やりきらない自分からぬけだしたい」と変更しました。
最初に「私、事務職からぬけだしたいんだ」ということも、ぬけだ荘プロジェクトのイベントに参加して気づいて、転職活動をした結果、求人広告の代理店に転職が決まりました。だから、「ショムニ的事務職からぬけだしたい」はもうぬけだしたぞ、っていう。
ーーわぁ、おめでとうございます!
まさみん ありがとうございます。……ていうところで、次のぬけだしはなんだろう、って考えて「やりきらないからぬけだしたい」という新しい宣言にしました。今日は、自分のこと深堀りできたらな、って思います。
ーーじゃあ次はかずちゃん、お願いします。
かずちゃん はい、ぼくは「いなくてもいい人からぬけだしたい」をテーマにしていて、なんか誰からも認められていないんじゃないかと思ってしまうんですよね。自分がやっていること、あまり誰も見てくれていないのかな、と思って不安に掻き立てられることが多くて。
ーー最初にnote書かれたのが1年以上前ですよね。そのときよりも気持ちが前向きになっていればいいな、と思っていますがどうですか?
かずちゃん ちょっと環境も変わりましたし、前デみたいなオンラインサロンという場にもいれてて、少しずつでありますけど気持ちを明るく向けられているのかなってのがあります。
ーーよかったです。では最後にちーちゃん、お願いします。
ちひろ 私の宣言は、「買って満足する自分からぬけだしたい」です。私、物をポイポイと買ってしまうほうで……。買ったときは「これ使いたい、あれやりたい!」って気持ちが強いんですけど、買って置いておくうちにそのまま使わずじまい、っていうのが多かったので、それをどうにかしたいと思って。
ーーありがとうございます。この前、前デのほかのメンバーと話していて、ちーちゃんの宣言ってもしかすると自信がないからそこに繋がってるのでは、という話になったんですよね。
ちひろ そうなんですね。何かを「買わない」というのもすごく大切なんですけど、私にとってはそれが「落ち着いて物事を判断できる人」にもつながるんじゃないかと思っていて。
ーーなるほど(笑)。衝動的に買わない人みたいな。
ちひろ そう、買わない人(笑)。
でも、本当に買う、買わないの判断って「自信がないから買っとこう」みたいなのが原因なのかもしれません。だから余計に買っちゃうみたいな。これも必要かも、あれも必要かも、って。
あとあれですね、同じもの二個買っちゃう(笑)。
ーーえぇ!なんでですか?
ちひろ 「あっ、ストローないから買おう」と思ってストロー買ったら、じつは家に100個入りがあった、みたいな。そういう感じのもあります。
ーー状況に、自信がないみたいな(笑)
ちひろ そう、自信がない(笑)。
ぬけだしのヒントは、「たぬき会」にあり!
ーーでは、みなさんが自分が宣言したことから、どうやってぬけだそうとしているか。なにか効果があったこと、気づいたことがあったら教えてください。
まさみん たとえば、ぬけだ荘では「夢・願望100のワーク」を住民のみんながやったりしていましたんよね。私も「やりきらないからぬけだしたい」という宣言をして最初のほうはやろうと思っていたんですが、全然手をつけられてなくて。
ほかの住民のワークの結果を見てると、「すごい!」って思ったり、そこから気づくこともあったりするのに、いざ自分がやっても30個しか出てこなかったんですよね。
やりきれないからぬけだせない、ぬけだせないからやりきれない、って悩みがエンドレスループになっちゃったり。一人で頭の中でぐるぐるぐるぐるして、同じ結論にいつも達して “あぁもうやだ” って感じになってました。
ーーそのループからぬけだすのに、いいきっかけは見つかりましたか?
まさみん ぬけだ荘で「たぬき会」という、自分のぬけだし経過を報告するイベントがあって、それに参加したら少し感じが変わりました。
自分の今の状況を、しっかりとさらけだせた。自分の頭の中を出すのと、それが他の人から見たときにどう見えてるのかっていうのを話せたのが、私は大きかったかなと思って。「こうなんじゃない?」ってアドバイスももらえたりするので。
かずちゃん ぼくも、たぬき会でのアドバイスは参考になっていますね。誰からも認められていないんじゃないか、という話をしたら「承認欲求が強いんじゃない?」って言われて、「確かに、そうかも」とすごく思いました。
ーー話してみて、楽になったなとかってありました?
かずちゃん それもありますし、やることが明確になりますよね。自分の場合、承認欲求を少し弱めることと、あとは他人と比較するクセをおさえること。
ほかの人を「すごいな」と思うと自分と比較してしまう。これもあんまりよくないかなと。自分に課すハードルが高いんですよね。
まさみん 私も、人から見たらできてると思えるレベルなのに、自分では「できていない」と低く見る傾向あります。
ーーそれは意識的におさえられるんですか?
かずちゃん できるだけ他人と比較するのではなくて、過去の自分と比較するのを意識するんです。他人は他人として、自分は一週間前、二週間の自分と比べてどうか。ここまでやってきたよな、できるようになったよな、と考えるように意識を向けています。
それで、自分で自分を認めてあげられるというか。
まさみん それ、すごくいいですね。
ーーまさみんさんは承認欲求は強いですか?別に強くない?
まさみん 職場に自分のことを“かまってちゃん”と言う先輩がいて。その方は客観的に自分のことがわかってそれを言ってるんですよね。それを見てたら、「私は本当は“かまってちゃん”なのに、客観視できていないのかも?」とか思ってしまって。本当にそうだとしたら、すごいイタイ感じですよね(笑)。
ーーいやいや(笑)。 承認欲求はみんなあるものだと思いますよ。私も人より強いと思います、でもかずちゃんみたいに、意識的に考えて自分と自分を比較するようにしていたら、だいぶぬけだしに近づきそうですね。
かずちゃん 微々たるものかもしれないけど、少しずつはぬけだせているんじゃないかなぁって思います。
「買い物カゴに入れて、一回落ち着く」
ーーちーちゃんは、どうですか? 「買わない」ように何か気をつけたりしたことありますか?
ちひろ 買い物するときは、店頭に行って買うか、通販で買うかですよね。店頭のときは、気になる商品があったとしても、一回目は買わずに帰ります。通販の場合は、買い物かごに入れて買わない(笑)。それで一回ちょっと落ち着くっていう。
ーーめっちゃ具体的ですね(笑)。それは買いすぎのみなさんもやってみましょう。
ちひろ 数日経って「あっ、やっぱ必要だ」って思ったら買。だけど、そのとき自分の中で盛り上がって「欲しい」ってなった物でも、大体のものは買わずにすみました。あとコロナ禍で店頭に行く機会が減ったのも、少しありますね。
ーーちーちゃんの、今まで買ったもので展覧会やるみたいな話ありましたよね、写真展だっけ?(笑) あれ、やらないんですか。
ちひろ 結構処分はしたんですけど、まだ全然あります。あれ、やっていいんですかね?(笑)
ーーやってほしいのですけど! ふつうに見たいと思ってたんで。
ちひろ なんかじゃあやろうかな。
まさみん 何系のアイテムが多いんですか。
ちひろ あれですね、刺繍キット、トレーニング器具、クラフト系ですね。大きいのがストレッチポールとか(笑)。なんか良い物だって聞くと 「あっ、良いんだ」ってやろうかと思って買うけど、実際はぜんぜんやらない。自分のルーティンとか、習慣化みたいなところも何か課題なのかもしれないです。
ーーなるほど。ちーちゃんは、いま自分の宣言に対しての「ぬけだし度」でいうと、何%くらいぬけだしてると思いますか?
ちひろ 今、ほとんどもう買わなくなったんで。ほぼ100%じゃないですかね?
ーーえー!1年で、そこまできました(笑)。なかなかこの座談会で100%って言える人あまり今までいなかったのですごいですね。心持ちとか変わりました?
ちひろ そうですね。物を買ってしまったことに対して、「あぁ買っちゃった」とか「また使わないのに」とか。そういう後悔がなくなりました。
たぶん、最初がひどかったんですね。もう、買いすぎ。
一同 (笑)
自分で自分を認めることも大事
ーーちーちゃんが、まさかのほぼ100%ぬけだし達成でした(笑)。かずちゃんとまさみんは、いまのぬけだし度はどのくらいですか?
かずちゃん ぼくの場合、ぬけだ荘のプロジェクトが始まる前からずっと同じ悩みを持っていたので、ぬけだし宣言のnote書く前の経験から現在まででいうと、40%から半分くらいですかね。
ーーそれは、やっぱり前デの存在は大きいですか?
かずちゃん そうですね、先ほども言いましたけど前デにいられることで少しずつ気持ちが明るくなっているとは思います。
あとは仕事での目標達成と対人関係の面でもっと自信をつけたいですね。
前の会社の先輩に「自分の意見を持てない人は利用されるだけ」と言われて、本当そうだよなぁって納得してしまって。ぼくも自分自信の意見がはっきり言えずに振り回された経験もあるので、そこはいま改善しようとしています。
ーーどうやって改善できるものなんですか?
かずちゃん 今はこの本を読んでいます。『いつも誰かに振り回されるが一瞬で変わる』。これも、たぬき会でどなたかに紹介してもらった本で、自分に自分のことを問いかけるみたいなことが、すごくわかりやすく書いてあるので、ためになっています。
ーーへぇ〜、いい会だな、たぬき会。まさみんはどうですか?
まさみん 私は数値では言い表しづらいですが、まだまだですね。「やりきらない」はどこに問題があるのかなぁ、って考えているんです。たとえば興味がないからなのか、逆に興味がいろいろにありすぎるからなのか。ちひろさんの話を聞いていて、私も買い物クセあったりするので、もしかすると興味がわきすぎているのかもしれないです。
でも、最近前デで「マルチポテンシャライト」っていう言葉を聞いて、いろいろ興味が湧くのもいいことなのかな、って思い始めています。
ーーあれですよね、一つのことを突き詰めるのではなく、いろいろなことに興味を持ってやる人、みたいな。
まさみん そうですそうです。私自身、前の会社ではSEの部署で事務をやっていたんですが、途中、経理、営業事務、営業、人事、といろいろなことをやってきたんですよね。転職先の会社でもいろいろな業務を「サポートしてほしい」って話をされたり。
ーーいろいろやってるからこそ、頼られる部分があるんですね。
まさみん そう、だけどそれに応えていると以前のように「ショムニ的事務職」に戻ってしまうかもしれないので、まずは営業として結果を出すことを目標にしています。
ーーすごく、明確でいい目標ですね! それを「やりきった」ら何か変わりそうです。今回座談会で、みなさんの活動と現状を聞けてすごくよかったです。
かずちゃん 今回、自分の現状を座談会という形でアウトプットできて、自分が思っていることを伝えるのも、フィードバックをもらえたりしたのも、すごくよかったです。
ちひろ 私も、あんまりSNSとかnoteでぬけだし活動をアウトプットをしてなかったんですけど、今回いろいろ話して「買わない」ようにするためにやりかた考えてメモしたりしたことを思い出しました。
それがつながってるから、ぬけだせてるとは思います。
ーー買ってしまったものたちの写真展、楽しみにしてます(笑)
ちひろ ありがとうございます(笑)。
まさみん 自分のことをこうやって話して受け入れてもらったり、さっきのかずちゃんの話を聞いていると自分で自分を認めることも大事なのかもしれないと思いました。
次、お話しするときには今のぬけだし宣言の結果を、自信を持って言いたいなと思います。
(終)
ぬけだすにつれて自信が出てくる
ぬけだ荘の住民たちが掲げる「ぬけだし宣言」の中でも、とくに多いのが、自分への自信がないことからくるモヤモヤや悩みです。漠然と不安になったり、自分の意見がしっかりと言えなかったり。自信がないことからくる悩みは住民によりさまざま。
だけど、そうした悩みをもつ住民たちはみな、自分が掲げた「ぬけだし宣言」を達成するにつれて、どんどん自分に自信をつけていくように見えます。
そしてその最初の一歩が、“自分で自分を認めること”。
今回の座談会を通じて、具体的な目標に向かって進んでいる人ほど、小さな達成のたびに自分で自分を認め、自信につなげていってるように感じました。
聞き手 うえさま
原稿・編集 郡司しう
バナーデザイン HAL
Special Thanks 高野隼、カナ
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