バナー作りバナーfin-03-03

前田デザイン室でデザインがうまくなる! 鬼フィードバック全公開。

こんにちは。
前田デザイン室の斉藤 ナミ(パン子)です。

普段は、看板屋さんでデザインをしながら、運営チームの一人として活動に参加しています。

さて、前田デザイン室では、定期的に大阪や東京で定例会を開催していますが、今回、8月の定例会バナーを私が作ることになりました。

たくさんのデザイナーが集まる定例会。
「しっかりとしたものをつくって、たくさんの人に見て欲しい!」という想いもあり、室長の前田さんに直々にディレクションをしていただきながらバナーを制作することになりました。

マンツーマンでがっつりとディレクションしていただけるなんて、なんて贅沢な体験なんでしょう。

「前田さんのディレクションは前デの宝だがや!」(名古屋弁)

とても勉強になったし、みんなにも知って欲しい!
ということで、制作過程と前田さんからのディレクション内容、そしてその時に私が考えていたことを記事にまとめてみました。

少し独り言のような書き方になりますが、楽しみながら読んでくれたら嬉しいです💛


わたし(パン子)がはじめに考えたこと

まず、バナーに入れた方が良いと思う内容を自分なりに整理してみました。

今回の定例会のゲストは、プロダクトデザイナーの大村卓さん。
大村さんは「企業のノベルティを勝手に考える」で有名な方です。

大村さんとのトークテーマは「アイデアの作り方」で決定していました。
この内容は第一に入れないとな、とまず思いました。

次に、この日は前田デザイン室でのプロジェクトの発表会も予定されてました。それは「パンティ」をテーマにした缶バッジをつくる「パンティ缶バッチプロジェクト」。この内容も入れたい。

さらに、今回は前田デザイン室のメンバーではない、一般の方も参加ができる会になったため、それもバナーの中に入れようと思いました。


これらの内容を踏まえて、まず最初に制作したデザインがこちらです。

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何を考えて作ったかというと…

・大村さんの名前、会社のロゴ、プロダクトを並べて「これを作ってる人ですよ」ということを伝えたい
・「アイデアの作り方」がテーマだから、豆電球。
・パンティ缶バッチのお披露目会もあるので、ピンクのパンティをかぶせてみた。
・プロダクトの一つであるボンカレーのお皿が映える、夏らしい背景色。

ということを考えました。


本気のフィードバック、はじまる

ここまでは自分で考えて作ったデザイン。
このデザインを見た前田さんからのフィードバックがここから始まります。

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ふむふむ。

「伝えたいこと」ってなんだろう…。

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という形で、一つ一つ丁寧に。
答えを教えるのではなく、私に考えさせながらヒントを与えてくれました。


試して、変えて、考えて。試行錯誤の連続がデザインを成長させてくれた

前田さんからのヒントは「なんのためにつくるか」
自分なりに考え直してみました。

・もっと大村さんのことを前面に押し出して、一般の方に来て欲しい
・それなら、今回のバナーは前田デザイン室メンバーよりも一般の方のために作った方がいいのかも?
・前田デザイン室内のイベント(パンティなど)は、バナーで主張するよりも内部で共有できればいいかな?

そう考えて、今度はこう作り直してみました。

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「大村さんって、こんなに面白いもの作っていらっしゃる方なんだよ!」と、分かるように。今まで作られたノベルティを主張したデザインに変えてみました。

これに対して、

前田さん
「情報の玉がたくさんありすぎて、情報バズーカになってない。よく読んだらわかるんだけど理解するまで時間かかる」

そうか…。
理解するまで時間がかかる、か。

それなら、これはどうだろう?

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ドカンと一枚、写真で分かりやすく!

すると

前田さん:
写真でわかりやすくなった!じゃあ情報に優先順位をつけよう。まず、どこから読ませたい?どこを記憶に残したいか。1秒で伝わる?

ほうほう…。
1秒で伝わるかどうか。

このことは、前田さんの著書「NASU本」にも書かれていました。

グラフィックデザインは"情報バズーカ"だ
(NASU本より)
グラフィックデザインは膨大な情報を一気に伝える「速さ」と「衝撃」も兼ね備えている
(NASU本より)

そうか。今のデザインだと1秒じゃ伝わらない。

伝えたいことは
・大村さんがゲストであること
・前田デザイン室以外の一般の方も参加できること

それを考えて、こう変えてみました。

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1秒でわかるように!
・大村さんの名前を大きく。
・一般参加OKも大きく。
・あとは小さく。

視線が順番に行くでしょ?わかるでしょ?
(今考えると、伝えたい事がちゃんと整理できていたら、ここまですぐたどり着くのに、と思います)

前田さん:
よくなった!でも、これだと大村さんを知らない人、前デを知らない人にわかる?最悪のお客さんを想定して?
「頭の中で最悪のお客さんと会話しろ」
(NASU本より)

もしこれを意地悪な人が見たらどう思うか?
これが自分の大嫌いな人が作ったものだったら、自分はどう思うか?

そうか。
これ「大嫌いなアイツ」が作っていたとしたら私は「全然わからん」ってケチつけてるわ。いかんいかん。

変えよう。

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すぐに
・トークイベントであること
・大村さんがプロダクトデザイナーであること

を付け足しました。

前田さん:
もっとメジャー感出すにはどうしたらいい?クリエイターが行きたくなるようにするにはどうしたらいい?この案を大事にしすぎてない?身動きとれなくなってない?デザインは子だくさんだよ
「デザインは子だくさんな方がいい」
(NASU本より)

1つのデザインに固執しすぎて、良くできる可能性を探していませんでした。
完全に…。

ということで、一度このレイアウトを捨てて、他の案も考えてみることにしました。

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反対側にしてみる。
行きたくなるようなコピーを付けてみる。

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縦にしてみる。
明朝にしてみる。


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黄色にしてみる。
日時を写真に白抜きにしてみる。


いろんな組み合わせ、場所を探していきました。

前田さん:
メジャー感。決定版的な力強さが欲しい。書籍のような。「アイデアの作り方」を幅いっぱいに大きくしてみたら?

という、ヒントをいただいたので、やってみます。

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前田さん:
いいね!

やった!

ようやく全体像が見えてきました。
大まかなデザインは見えたものの、あっちやこっち、ココはこうしてああして…。
前田さんにヒントをいただきながら、少しずつ心地いい見え方を探していきます。ここでも私の頭の中に浮かび上がるNASU本の言葉。

「良いデザインは固い」
(NASU本より)

修正する余地を感じないくらい、考え抜かれた、動かしようのない”固い”デザインを目指しました。

そして、最終的に出来上がったものがこちらです。

画像13

はじめに作ったものと全く違う。

「完全に1秒で伝わるわ!めっちゃメジャー!」と、感じました。

自分の手でこうして形にできた嬉しさがある反面、
・トークテーマの部分を全幅にしたら一気にメジャー感が出たこと
・豆電球をフラットなアイコンにしたらまとまったこと
など、最初から凝り固まって動かなかった部分があって、それに気付けなかったことが悔しかったです。

もっと自分自身で、柔らかくいろいろな変化をつけられるようになっていきたいと思いました。

ちなみに、このデザイン。
最終案としてバナーに設置したあとも、数日間何度も直していました。

右上の日時の文字間が気になったり。「アイデアの作り方」の周りの余白が気になったり。

“固いデザイン"を生み出すための条件は2つある。「たくさん検証すること」と「OKレベルを上げ続ける努力をすること」だ。
(NASU本より)

まだまだ私はOKレベルが低くて、あとから気になる部分が出てきてしまいます。

なので、これからもひたすら検証を繰り返して、OKレベルをあげていかなきゃな!と思ってます。


手を動かすから、気付けたこと

今回、フィードバックを記事にまとめながら不思議に思ったことがあります。

それは、何回も舐めるようにNASU本を読んでいたはずなのに、フィードバックを振り返りながら「NASU本より」と引用して初めて、その意味や視点に気付けたような気がする、ということ。

最初の「何を伝えたいの?目的は?」という前田さんの問いも、NASU本の「何のためにやっているんだっ!」に書かれていました。

目的を再確認するために自問自答を繰り返す。「何のためにやっているんだ!」と脳内で何度もアラームを鳴らすかのように。
(NASU本より)

そう。
読んでいるはずなのに、理解や実践はできていなかったんです。

色々なところで聞いていたことだけど、読んでわかったつもりでいることと、実際手を動かして実践してみるのとでは全然違うな、って実感しました。

インプットして。
実践でアウトプットして。
答え合わせをして。
また少し忘れても、また実践して答え合わせをして。
そういう繰り返しが大切なんですよね。

今回は前田さんにマンツーマンでフィードバックをしていただきました。こんなに密にやり取りできる機会はそう多くないけれど、前田デザイン室の中では前田さんや、他のデザイナーのみんなからコメントやアドバイスを貰える機会がたくさんあります。

個人でデザインしたものにみんなからフィードバックをしてもらえる「デザ王」

みんなで同じ課題に取り組みながらレベルアップを目指す「デザインスクール スイスイ」。

また、何かプロジェクトに参加すれば、それだけデザインする機会も増えていきます。

前田デザイン室に入って1年。色々な勉強をして「ちょっとは私も経験値が上がったかな?」なんて調子に乗ってましたが全然だがね…。
(気持ちが入ると名古屋弁が出ちゃう。)


だけど、こうして気付けたこともまた勉強。
これからもどんどんデザインしながら、レベルをあげていきたいと思います!

前田さん、見守ってくれたみなさん。
ありがとうございました!

そして8月の定例会、みなさんぜひ来てくださいね!


こちらの記事の第二弾【誰も教えてくれない!】デザインの輝きを生む“フィニッシュワーク”を公開しました。


文・バナー作成:斉藤 ナミ(パン子)
編集     :大久保 忠尚
監修     :前田 高志 浜田 綾


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