鬼フィードバッ-01-01

【誰も教えてくれない!】デザインの輝きを生む“フィニッシュワーク”

こんにちは。
伸びしろたっぷり成長期真っ最中のデザイナー、斉藤 ナミ(パン子)です。

前回、バナー制作とそのフィードバックの過程を記事にまとめたところ、大変多くの方に読んでいただくことができました。

前回の記事はこちら
https://maeda-design-room.net/n/n82d5453a92c9

さて、またもバナー制作の企画が立ち上がり、図々しくも再び手をあげてしまったわたし。あれだけ恩恵を受けておいて、次は誰かに譲れよ…と思われそうですが、気づけばさくっと右手が空を切り、高く突き上がっておりました。

今回デザインするのは9月に開催予定のイベントバナー。生意気ながら、またも1から前田さんにフィードバックをしていただきました。前回さらけ出したから、もうこわくない!

デザインに携わる皆さんの参考になりますように!
恥ずかしながら、今回もフィードバックの内容を全て公開します。
以前に増して、デザインの奥深さと繊細さを知ることができた時間でした。


「なんのためにやってるんだ!」…つくる目的から考える。

さて今回のイベント、ゲストは漫画家のカワグチマサミさん。
コミックエッセイ「ゼロからわかる お金のきほん」を出版されたこともあり、「お金」をテーマにトークイベントを行うことに決まりました。

前回学んだ教訓「何のためにつくるか」を思い出して、まずは誰に何を伝えたいのか整理します。

カワグチさんがゲストで、お金についてのトークイベントをすること
・開催日は9月21日
・SNSで流れた時にイベント告知として分かりやすいように。
・このイベントをきっかけに、コミュニティに興味を持って欲しい

うんうん。伝えたいことは、きっとこれで大丈夫。
早速ラフを書いてみて、最初に作ったものがこちらです。

お金ってすぐわかるし、これならパッと目をひくはず。
わたし、こういうの好き!

すると

前田さん:
自分が好きかどうかは、デザインを決定する理由にはしないよ。それから、最悪のお客さんだったら、これ見てなんていうかな?

ぐぅ…そうですよね。客観的に考えないとダメでした。そして、最悪のお客さんに見られるとしたら。

もう一度考えます。
・「お金」がテーマであることを伝えることは大切。
・でも、お金について何をするのかが分からないと意味がない。
・つまり、もっと「トークイベント」だと分かりやすくしないと!

自分なりに考えて、たどり着いたものはこうなりました。

漫画家のカワグチさんがゲストだということ、そして本の出版も意識して
・漫画仕立てにトークイベントを告知。
・がま口や、キャラクターに漫画っぽく喋らせてみる
・出版される本に背景パターンを合わせてみる
などしてみました。

んー、なかなかいいんじゃない?と思ったのも一瞬。この時点でもう前回の教訓を忘れてしまっていました、わたし…。

前田さん:
お金の話って1秒で伝わる??

あー…。これじゃあ、よーく見なきゃ分からない。


少し変えて、漫画の1コマに見立ててみたり。

これなら1秒でわかるかな?と思って作り出したはずなのに、結局ごちゃごちゃ細かく書いてしまった…。

前田さん:
情報バズーカ忘れてる。3mくらい離れて見てごらん?

こんなに小さい文字でたくさん書いても、タイムラインで流れてたら全然伝わらない。もっと情報をバズーカのようにして、衝撃を与えないと興味を持たせられない。

この辺りで1回めっちゃ凹みました。
あぁもう…本当なんでわたしはこんなポンコツなんだろう。ついこの前、マンツーマンで教えてもらっておいて、あれだけnoteにも書いて、みんなにも応援してもらっておいて。全然できない、成長してない。
前回の方がマシだった気もする…後退してる?頭も固いし、アイデアもイメージもなかなか思いつかないし、いつもピンタレストで画像検索とかしちゃうし。整理とか仕分けが得意な事務系タイプの自分に、デザイナーは向いてないんじゃないか?とかも思いました。


でも、途中でやめるなんてできないし、諦めたくない。
だから今はこのデザインに向き合って、しんどくてもとりあえず全力で絞り出す!

そう思って、また画面に向かいました。

…大層な決意をして絞り出した割に、大したものが出てきませんでした。

それでも
・ドカンと1秒で伝わる情報バズーカ
を意識してなんとか作ってみたんです。

前田さん:
ちょっとよくなった。

やった!
この言葉をもらって、少し気持ちを持ち直せました。

そして、ここから勢いを増して続々と返ってくる前田さんからのフィードバック!負けてられんがね!わたしは必死に食らいつきます。

前田さん:
トークテーマを書籍のフォントに似せてみたら?

ぐっとかわいくなってきた!

前田さん:
がま口の画像使ってみたら??
イベント名を変えればそれだけでトークイベントって伝えられない?

うわーー!これだーー!!
一気に情報バズーカになりました。Twitterで流れてきたら、がま口の可愛さに絶対に目が止まるはず!

・「お金トーク」にしたことでトークイベントだと分かる。
・カワグチさんがゲストだということも分かりやすい。

が1秒で分かるようになりました。

なんてこった、超かわいい。…ていうか、なんでこれを自分で思い付けないんだろう?

ここで、またもや凹みそうになりました(笑)

しかし、今回は凹んでる場合じゃありませんでした。


これがプロフェッショナル。「フィニッシュワーク」がデザインを決める

これで完成と思いきや。
ここから、前回はなかった前田さんの細部に及ぶ指摘が始まりました。

それは「フィニッシュワーク」。
今までわたしもあまり耳にしたことのなかった言葉です。形になったデザインをそれで満足するのではなくて、より良いものに仕上げていく。丁寧に丁寧に、細かい部分を磨き上げていく作業。

それが、質の高いデザインを生み出す秘訣でした。

・書体の変更・文字サイズや間隔の調整
・モチーフやあしらいの追加、変更

今まではあまり触れられなかった細部にまでチェックが入ります。

余白の間隔・各モチーフの整列
・文字間の調整

など、もちろん自分でも全力でやっていたつもりでした。

細かい部分への指摘はどんどん出てきます。

0.01mmずつ上げたり下げたり、左に右に、大きく小さく。
単純に数値に頼るのではなく、自分の目で見ながら、ちょうどいい位置を探っていきます。

本当にわずかな変化だけど、変わってきているのが分かりますか?

大枠のデザインが決まってから、自分では気付けなかったポイントをいくつもいくつも教えていただいて、それを何回修正を繰り返したことでしょう…。

自分でも驚くことに、振り返るとこれだけデータの更新がありました。

ひとつ直すごとに、また指摘を受けて。それをまた修正して指摘を受けて。
自分で一度に気が付けたら、どんなに良いことか…。

でも、諦めずにこれだけしつこく細部まで突き詰めていけたこと、そして完成までたどり着けたことには、自信を持ちたいなって思います。

おさらいに。大枠が決まった時はこのような形でした。

そして、最終的にできあがったデザインがこちらです。

がま口の案が出てから、細かい部分の修正まで、すべてが完了するまで1日以上かかりました。

自分では気が付かなかった部分も、前田さんのフィードバックを受けて直してみると、グッとキレイに気持ちよくなって、それまでに微妙な違和感があったことに気付かされます。

前田さん:
今回あえて割と細かいことまで言ったのはフィニッシュワークができてないから。レイアウト、文字組のあらゆる可能性を日頃から意識と経験しておくといいよ。

フィードバックを振り返りながら考えてみると、「フィニッシュワーク」は「細かい調整をすること」「完成度をあげること」という意味だと捉えました。

今までわたしは、デザインの全体像ばかりに目がいっていたけれど、それに加えて細かい部分をしつこく丁寧に整えることが、デザインの質を高めて、より高いレベルに導いてくれるんだと今回教えてもらった気がします。

しつこくなると、「質が濃く」なる
前田さんのブログ『NASU-note』より)

作りながら細部も気にしていたつもりだったけど、まだ甘かったんです。もっともっと良くなる可能性を自分では追求できていませんでした…。

ただ、気付いたんです。前回バナーを作った時、わたしは完成後も数日間、色々な部分が気になって何度も小さな修正をしていました。

でも、今回は直したい気持ちが全く起こりません。

それってつまり、前田さんの指摘によって細部まで、実践と検証を繰り返したからこそ、もう動かしようのないくらい「固いデザイン=良いデザイン」に仕上がったということなんだと思います。
「固いデザイン」については、前回の記事に記載しています!)


実践したから次に進めるステップ。

はぁー。これが自分でできるようにならなきゃなぁって、思います。

でも、前回指摘を受けたことや気付かされたことがあったからこそ、今回は初めから自分で考えられたこともあったし、また新しい視点やポイントを学ぶことができたんだと思います。

いきなり全部はできないけれど、一つのデザインの中で試行錯誤をして、また新しいデザインに挑戦していくことで、少しずつ少しずつ自分の中で出来ることを増やしていく。
そうすれば、いずれ一人でも作れるようになるのかな、って感じました。

前回は、デザインの基本の部分を実践と検証を繰り返しながら学ぶことができました。
そして今回は、細かい部分もあらゆる可能性を探ってやってみること、完成度を高める「フィニッシュワーク」の重要性を知ることができました。

たくさんの人のデザインを見て学ぶことも大事。
でもやっぱり実践して身に付くことって大きいな、って感じます。

こつこつ経験するしかない!手を動かし続けるぞー!!
これからも、もっともっと頑張ります。

今回も、前田さん、見守ってくれたみなさん。
ありがとうございました!

このフィードバックが、一緒にデザインを頑張る皆さんの参考になりますように💛



文・バナー作成:斉藤 ナミ(パン子)
編集     :大久保 忠尚
監修     :前田 高志 浜田 綾

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